蒸気機関が煙を吐く。 甲高い汽笛の音、回る歯車。 空飛ぶ乗り物に魔力を注ぎ込んで、人々は空を舞った。 ――これは悪魔が生まれるよりも、魔都が生まれるよりも、魔術が生まれるよりももっと前のお話。 人々は機械仕掛けの機構を使い、機械に頼って生きていた。 それらを動かす力の源となったのが――〝魔力〟。 人々は陽の光から魔力を得た。 暖かい陽の光を取り込んで、機械たちは動き出す。 魔力の媒介となる輝く宝石たちが、機械のコアとして機能している。 ……そんな彼らとは違う、魔力を効率よく扱う者たちも居た。 魔力を体内に取り込んで、不可思議な力を自由に振るった。 獣に姿を変え空を舞い、天と地を自在に行き来した。 ある者は電撃を操り、ある者は水を、火を、緑を、時に〝生死〟すらも……。 「さあ、お茶会を開きましょう。」 「手を洗わないのは駄目よ。」 「お行儀よくしてね。」 彼らは――〝魔女〟と呼ばれた。