約束
- 2025/06/05 07:37:09
やっぱり勝てない…
私はずっと「運命」に抗って来た。
もう、どうしようもないっていうくらい
がんじがらめに、八方塞がりに、
私を閉じ込める、この閉塞したキューブの中から
何とかして抜け出したかった…
破って跳び出したかった…
せめて、一筋の亀裂でもつけたかった…
何年も、何年も、何年も、何年も…
理解なんてされるわけない。
誰も彼もが呆れた悲しい目を私に向けた。
…そうだ、理解なんて出来るわけない。
分かっていたことだ。
理解できないことを私は知ってる。
でも、道があるはず…きっとどこかに、答えが。
それはもう…戦いだった。
「運命」との戦い…。
なんて無茶苦茶で荒唐無稽な言葉だろう?(笑)
中二病でも恥ずかしさで消え入りたくなるような壮大な響きだ。
そう、私はこの「運命」が嫌いだった。
なにもかも自分の思い通りしようとするこの「運命」が嫌いだった。
人の想いも、希望も、夢も、未来も、すべて退けようとする
この傲慢で、無慈悲で、わからずやな「運命」が大嫌いだった。
でも、ある時私は気付いた。
私は本当に「運命」と戦っているんだろうか?
この、わからずやな「運命」は、そもそも「運命」なのだろうか?
私の夢や、希望や、自由をないがしろにするこのモノは、果たして
「運命」と呼んでも相応しい物なんだろうか?
ひょっとして?
私はこのカッコつきの運命の文字を「願い」に入れ替えてみた…。
…するとそこに、切ないくらい儚げで一途な
それでいて、胸が苦しくなるほど深い『祈り』を見つけた。
永い永い時間を経て紡がれ続け、ぜったいに違えるまいと誓った
こころの底からの約束…。
誰と?
私は「運命」と戦ってたのではなく…
「願い」に抗おうとしていたのか……?
そのとたん、私の目から何故か涙があふれ出た…
そして…どうしても止めることが出来なかった。
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