あの娘の白いフリフリのスカートから出てきたのは

赤い赤いアメリカザリガニだった

蝋燭の炎が消えた瞬間に立つわずかな煙や

コップの底にほんの少し残ったアイスコーヒーや

隣の家の庭で揺れている真っ白いワイシャツなんかが

僕に今を知らせる

残像は赤く

夏の午後は重く

水道の水はぬるく

テレビに延々と音も無く映し出されているワシントンD.C.の国会議事堂は真夏の太陽に照らされてますます白く固くなっているようで

今が間延びしているようだけどそれが夏の仕業だそうで

汗ばんだ脇の下の温度と

冷やしたそうめんを食べるころ

君のスカートから出てきた赤いアメリカザリガニは夏の凶悪な太陽のもとでかわいそうに干からびていた

君はケラケラ笑ってる

君はケラケラ笑ってる

君はケラケラ笑ってる