Nicotto Town


ストーリーテーラーの集まる小さなカフェ

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投稿者:ケニー

紙に描かれていた残像は、今はもうほとんど見えなくなってしまっていた。

私が見た残像を描き残しておいたのだが、それももう13年も前のことで、フキサチーフもかけてない鉛筆画は消えてしまうのだ。

窓際のロッキンチェアーに座って、小説に火を灯し、灰皿に置く。
めらめらと本が燃える炎に揺らめいて、窓の外の暗闇は濃く、黒い雫が滴っているようで、窓を開けていると夏の夜の匂いがしている。

朝はもうずっと来てない。
朝が失われてもう1年は経つだろうか。

紙に描いた残像はもちろん君の横顔で、君はもう死んだから、残っているのはこの一枚の紙だけになってしまった。

ただ、私は年老いてはいるが、悲しみなどに埋もれているわけではなく、しんしんと沈む夜に身を任せ、その冷たさを心地よくさえ思ってもいた。

窓の外に気配は無く、私が窓辺に座っている以外には、わずかに虫の鳴き声が聞こえているだけで、夏の夜はとても静謐であった。

歳を取るということは、それだけの分量の夜を持てるということなのだ。
若さは日中に活きるが、年寄りは夜の黒い雫の中で活きていくのだ。

やがて私の臓腑まで黒い雫で満たされてゆけば、私も夜になれるのであろう。
一枚の紙は手から滑り落ちて、ロッキンチェアーはもう主人を失って揺れるだけになる。

窓は開け放たれたまま、夜に満たされていく。

アバター
2024/07/19 22:43
ケニーさんは海外経験が多そうに見えるし、読んだことないけど五木寛之好きですか?童話ぽい話し書いたり、読書量多いんですか?充分いいんだけど、僕の報告書やレポートみたいな文章とも違う。これ極めたら僕とは別の凄い作品が...
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2024/06/29 14:15
哀愁感漂う掌編小説。
アバター
2024/06/13 20:42
ずっと昔、ラジオ短波を使った前衛音楽が流れていました。
「夜の声」、ベルナール・ビュッフェの孤独、「卵を食う男」
それと、アーネスト・ヘミングウェイの悲しみ
「老人と海」
それでも、「日はまた昇る」
聖書の言葉。伝道者の言葉
フルマラソンで、まだまだゴールが見えない、30キロあたりで、
足が攣りはじめたら、もう歩くしかない
あと、10キロ以上ある。頑張ってごまかしながら、走るしかないじゃろ
前に向かって走れば、ゴールは近くなる




管理人
ケニー
副管理人
-
参加
受付中
(今すぐ参加可能)
公開
全公開
カフェの利用
朝10時~夜24時
カテゴリ
自作小説
メンバー数
12人/最大100人
設立日
2024年02月18日

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