夢枕獏の作品は好きですか?
- 2010/11/23 23:01:05
投稿者:おやすみ
新・魔獣狩りの12巻・13巻を読み終わり、
やっと30年かかって完了したこのシリーズ。
正直言って、なかば、あきらめていましたが、一応、終りました。
というのは、最後がアメイカ小説にあるような
続編が作れるようなラストにはなっていますから。
本当に夢枕作品は、終っていないシリーズが
多く、絶対全部は書き上げることは不可能と思えますが、
一度その魅力に取り付かれると、あとあとまでひきつけられます。
そんな夢枕作品について、語りましょう!
と、その前に。この小説、何かの作品の続編なんでしょうかね?
文中に何度か、そのようなことをにおわせるような文章(「坂上田村麻呂やアテルイと
約束した」とか)が出てくるんですが、あとがきには何も書いてないので
ちょっと消化不良……
まあそれはさておき。
内容はタイトルまんまです。
空海が遣唐使船で唐へ行き、最短の時間で最高の密教を学ぶ(空海の言葉では「盗む」)
ために、あれこれ人脈を作るうち、いつしか大唐帝国最大の謎である
楊貴妃の死にまつわる因縁と呪詛の戦いに巻き込まれ、最後は
「鬼」あるいは「過去の亡霊」ともいうべき人物たちと文字通り宴を開く、
というお話。
スリリングな呪詛合戦、次から次へと出てくる楊貴妃の出生とその死にまつわる謎、
4巻もあるのにぐいぐい最後まで引っ張られるようにして読んでしまいました。
あとがきで作者ご本人が「大傑作」と自画自賛しておられますが、
いやまさにその通り。
空海の天才ぶり、野心家ぶりも見どころですが、個人的には丹龍の長年にわたる
一途な思いが最後の最後に実ってよかったな、と思いました。
読む予定の本には、入っているのですが、積読本が多くて・・・・・。
アマゾンのウィッシュリストで獏さんのリストを作っており、
その中に陰陽師シリーズと共に入っています。
自由人らしい獏さんのインタビューエッセイ。例により趣味の釣りと格闘技の話。
しかし、自分が面白いと思った仕事しか引き受けないようにしているとは。
自分の好きな仕事を選べるようになったとは、実に羨ましいです。
>にゃおこさん
獏さんの主人公は確かに、カブル面は確かにありますね。作者自身にもカブル面が。
空海の人物像が、どことなく晴明とかぶるんですが、気のせいでしょうか。
『奇譚カーニバル』
1995年出版ということでちょっと古いですが。
収録作品(と、私の感想)は以下の通り。
小泉八雲「茶碗の中」
(途中で終わってる話なので、読んでてちょっと座りが悪いですが、それも含めて奇妙な話)
夏目漱石「夢十夜」
(第三夜はホラー短編の傑作。ホントに夢に見そう)
小川未明「大きなかに」
(なんかよく分からないけどひしひしと怖い)
内田百閒「件(くだん)」
(後出のとり・みき氏も漫画でくだんネタを描いておられますね。なんか因縁めいたものを感じるのは私だけ?)
幸田露伴「観画談」
(これもなんかよく分からないけど、怖い)
横田順彌「昇り龍、参上」
(すみません、正直に書いていいですか?
( ゚д゚)ポカーン な読後感でした。
任侠SF……好きな人は好きかもしれません)
山田正紀「雪のなかのふたり」
(筒井康隆の「毟りあい」という古い短編を思い出しました)
かんべむさし「俺たちの円盤」
(「キョン」というニックネームの人物が出てくるんですが、ひょっとして「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョンはここから?激しく気になる!)
筒井康隆「かくれんぼをした夜」
(夜の学校はホラーネタの宝庫)
夢枕獏「柔らかい家」
(怖くて気持ち悪い)
椎名誠「猫舐祭」
(近未来戦争後、いろんな原因でミュータント化した人類が跋扈する世界の、とある町の話。読んでて激しくデジャヴ)
タモリ「ハナモゲラ語の思想」
(落とした原稿を白紙のまま掲載したもの。面白いっちゃ面白いけど……)
とり・みき「遠くへいきたい」
(何とも言えないオチの9コマ漫画。このシリーズ好きです)
しりあがり寿「瀕死のエッセイスト」
(「死人の酒場」がしみじみ怖くて哀しい)
杉浦日向子「百物語」
(何か怪物が出るというわけでもないけれど、薄気味悪い。淡々とした絵柄のせい?)
特に印象が強烈だったのは「俺たちの円盤」と「昇り龍、参上」。
初めて読んだ任侠SF。
巻末の解説をみて、ようやく
「これ、笑うとこだったのか……」
と知りました。
だってストーリーは一応マジメなんだもの!(;´Д`)
1巻目は買ってあったのですが、何故か積読状態に。
図書館にあるのを見つけて残りの3巻を借り、一気に読了。
獏さんがあとがきで書いているが、例によって書き出したら
長編化したとのこと。
本来は、下記の内容で(3が中心)を1冊でやる予定だったが
前振りが膨らんでしまい、1)はkの天の巻4巻が充てられた。
1)講道館創成期の物語
2)明治大正における、日本にやってきた外国人格闘家との異種格闘技戦の物語。
3)コンデ・コマこと、前田光世の物語(『東天の獅子』)。
4)コンデ・コマ以外の、海外へ渡った日本人格闘家の物語。
嘉納治五郎が明治になって衰退していた柔術から、
新しい講道館柔道を創り上げた創世記の格闘技小説です。
必殺技山嵐で有名な姿三四郎もモデルとなった西郷四郎を
初めとする講道館四天王、講道館柔道に対抗する柔術界の
達人たち。湯枕縛お得意の英雄群像物語です。
歴史手事実や背景等を第三者視点が解説しながら、
間に小説で創作していく、というスタイルで描かれています。
獏さんが史料を十分に下調べをして創り上げていることが分かります。
当然、創作部分も思い切って想像を膨らませています。勝海舟が
でてくるのには驚きましたが。
一言で言えば、魔獣狩りの文成仙吉のような登場人物がいっぱいでてくる格闘技小説です。
天の巻に続く地の巻の発刊が楽しみです。
空海の残留思念に身体を乗っ取られた黒御所、それに従う獣使猿翁は、
蓬莱山の黄金を追う、空海の残した秘法「四殺」の抹殺の依頼を受けた美空、
そして、黄金と四殺を狙う腐鬼一族、鬼道の秘密を握る美女鬼奈村典子を守る文成仙吉、
鬼道を追う御子神一派、闇社会の巨魁、白井狂風は、黄金、四殺、鬼道の全てを狙う、
それぞれの闘いは広がって、サイコダイバーの九門鳳介と毒島獣太をも巻き込んでいく。
更に登場人物が増え、ストーリーも絡み合い、伝奇群像物語となっています。
本当に、獏作品には、魅力的な人物が多いですね。
猿翁は、前作より登場人物としての魅力がアップしました。
賛同はできないまでも、その生き方には共感を覚えました。
それに比べて文成仙吉はパワーダウンしました。前作での苦悩を振り切れないまま、不完全燃焼
に終ってしまいました。
魅力あふれる登場人物が多く、それぞれ外伝で主人公をやっています。
このサイコダイバーシリーズと呼ばれる作品の概略を説明しておきますと、
高野山から空海の即身仏(ミイラ)が盗まれた。高野山から依頼を受け、
裏荒野の無痛症天才密教層の美空と、人の精神に潜り込む能力を持つ
サイコダイバーの九門鳳介がミイラの奪還と盗まれた目的の謎を追う。
盗んだのは、日本の暗部を支配する宗教集団「ぱんしがる」。
そして、それをあやつる黒御所。
銀行強盗からの逃走中、ぱんしがるの秘められた儀式に遭遇した
過激派の闘士、文成仙吉は獣人・蟠虎と戦うが、破れ、最愛の仲間を
連れ去られる。失ったものを取り戻すために中国拳法の修行を積み、
ぱんしがると獣人・蟠虎に再度挑む。
こうして、3人とぱんしがる・黒御所の空海のミイラを巡っての戦いが
始まる。
他の作品と繋がるテーマに空海の謎を探求する、というのが
あります。
サイコダイバーのアイデアは、目新しいアイデアではないのですがk、
この作品によって有名になりました。
この3人のヒーローの中では、文成仙吉が人間らしいので好きです。、
というか、獏氏の作品て完結したものよりしてないもののほうが
多いんじゃあ……?
キマイラシリーズは九鬼さんと主人公・吼(コウ)の関係とか、
広げた風呂敷や伏線をいまだにまっっっっったく回収してない状態なのを
なんとかしてほしいです。
作家として最低限の責任ですよ、ほんと。
あと、氏のオフィシャルサイトって有料なんですが、現金払ってまで
入会するコアなファンていったいどれくらいいるんでしょう?
ちなみに私は玄関先で「有料」の看板を見て回れ右をしました☆
簡潔させるという方針を出していたが、本当に終ることやら。
主な未完を上げてみると、
①「闇狩り師」シリーズ
②「大帝の剣」シリーズ
③「黄金宮」シリーズ
④「獅子の門」シリーズ
⑤「印度怪鬼譚」シリーズ
などが残っている。
獏さんの作品では、個人的には、「闇狩り師」シリースが好きで
主人公の九十九乱蔵は、他の小説には存在しないタイプです。
だから、簡潔させてほしい。
後は、やはりキマイラシリズも完結を!
他の作家がやるような、作品全体を同じ世界感の中で統一させる
ようなことは絶対やってほしくほない。(絶対やらないと覆うが)
新刊が最後に出たのは、もはや記憶のはるかかなたでございます。
ちなみにシリーズの第1作から順に復刊(?)されているようですが、
いちから買い直す気力なんかないのでよくわかりません(^_^;
読みたい本ばかり いろいろ紹介があって 追いつきませんが
これも、読んでみたいです^^
完結したんでしょうか?
たまに「闇狩り師」をたまに読み返しますよ。
頃の「キマイラ」シリーズが最初の出会いでした。
「キマイラ」はグロとバイオレンスはあるものの、エロの部分は適度にぼやけた
表現になっていて、高校生でも読みやすかったという記憶があります。
私が氏の作品を好ましいと思った理由ですが、
第一に、格闘シーンのかっこよさもさることながら、
登場人物それぞれキャラが立っていて、それぞれが背負う「業」があり、
人物の造形がうすっぺらでないから。
次に、作品全体に通底する独特の「雰囲気」とか「美学」のようなものがあり、
それが魅力的だから。
この2点です。
これから夢枕獏作品を読もうという方には「陰陽師」シリーズがオススメですが、
とくに文春文庫から出ている「生成り姫」(なまなりひめ)が読みやすいと思います。
美しい姫は、なぜ鬼となったのか……
人とは、なんと身勝手で哀しい生き物か、深く考えさせられる一冊です。