IFシリーズ
- 2010/05/04 23:45:55
投稿者:ソロ
IFシリーズには、歴史ものが多いですね。
大きなものでは、「独英戦争でドイツが勝利をおさめていたら」というものから、小さいものでは「細かい戦争でこの武謡が違う動きをしていたら」というものまで様々です。
最近では、「架空戦記」などというものがありますがこれは、SFというより、ファンタジーの系統に属するものでしょうか。
P・K・デックの小説に「高い城の男」というのがあります。
帯しか記憶に残っていませんので、捜し出してみます。
SFやファンタジィーで、新しい世界を創造しようとすると、その世界背景(地図・歴史・宗教・言語・芸術等)を考えるのに膨大な努力が必要とされます。そのため一度造りだした世界を元に、その世界が魅力的であればシリーズ物になり、更にクトゥルー神話やペリー・ローダンシリーズのように他の作家も参加して描かれていきます。
国内小説のIFシリーズの氾濫は、既成世界をアレンジするだけで、こうした背景考証をしなくてすむから、という要因が大きいと思っています。
SFに限らず、国内小説と海外小説との大きな違いは、こうしたバックボーンの厚みにあると思います。それぞれの国の小説の歴史の発達の違いもあるのですが、日本の出版制度に問題点があると思います。返本制度の中で出版社は利益を確保するためには、自転車操業で多くの本を出さざるを得ません。そうした状況は印税の安さも含めて作家にしわ寄せが行き、粗製乱造の本が出来上がるわけです。
本題からちょっと外れて申し訳ありません!
ところで、近頃は中国や半島の北側某国が日本に宣戦布告し、九州などを支配下に
おさめてしまったらどうなるか……とか、
日本で外国人参政権が認められ、上記2国から退去して移民がおしよせ、
政治的に乗っ取られてしまったらどうなるか……
などといった小説が出ているそうですが、
そういうものを読んだリアルとフィクションの区別がつかない人たちが
小説の舞台になった地方都市に抗議のメールやファックス、電話を入れる
という異様なことが起きているそうですよ……
なんか、ブキミな世の中ですなぁ。
ネットで知り合い、意気投合した子供達が独立国家を宣言する……という筋立てだったような。
「エクソダス」は旧約聖書の「出エジプト記」のことですが、とすれば
この物語の子供達はさしずめエジプト虜囚ですか(^_^;
……というほどではありませんが(^_^;;;
「高い城の男」というと、太平洋戦争で、もしも日独伊同盟が勝利していたら……
という話ですね。
ディックの小説はこの手のものが多い気がします。
「VALIS」「聖なる侵入」「アルベマス」の3部作は、共産主義が世界を支配し、
思想統制が公然と行われているという設定です。
おおざっぱなあらすじは以下のとおり。
共産主義と宗教団体が結託し、思想統制を行う未来世界。
その世界を変えるために月コロニー(だったかな~、ずいぶん前に読んだのでうろ覚えです
ごめんなさい)で「神の子」が生まれ、主人公が「天啓」を受けて
その子供を地球に連れて行くことになります。
様々な危機を協力者の出現や「奇跡」などで乗り越え、「神の子」は
地球に到着しますが、やがて政府に発見されて殺されてしまい、
主人公は強制労働送りに……
なぜ奇跡は起きなかったのか、自分たちは神に見捨てられたのか……
絶望にうちひしがれる主人公。
しかし、労働の休憩時間、ラジオから不意に流れ出した曲と、
それを熱心に聴く子供たちの姿を目にした彼は、そこに希望の光を見いだします。
その曲(というか、歌)には神からの重大なメッセージが隠されており、子供たちは
今、それを無意識下に受け取ったのだ、と。
自分は種をまいたのだ。今、ここから、この子供たちから、世界は変わるのだ、と。
本編は主人公のドラッグによる妄想・幻覚が現実と入り乱れ、ひどく複雑で
読みづらいです。
あまりオススメはしません(^_^;