風はしづかに 梢(こずゑ)をわたつてゆき
わたしのこころの ふるへる弦(いと)を鳴らす
はるかなあなたを ただ想ふとき
むらさきの夕闇が そつと降りてくるあなたの名前を いくたび呟(つぶや)いたら
この寂しい胸のなかに ともしびが灯るだらう
とほい窓辺の あわい光のように
あなたは優しく わたしを焦...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
風はしづかに 梢(こずゑ)をわたつてゆき
わたしのこころの ふるへる弦(いと)を鳴らす
はるかなあなたを ただ想ふとき
むらさきの夕闇が そつと降りてくるあなたの名前を いくたび呟(つぶや)いたら
この寂しい胸のなかに ともしびが灯るだらう
とほい窓辺の あわい光のように
あなたは優しく わたしを焦...
六月の雨は しづかに降りつづき
あぢさゐの森を ふかく濡らしてゆく
うつろふ花びらの あをい影のなか
わたしのこころは ひとり迷つてゐるあなたの言葉は ひとしづくの露
葉すゑに震へて すぐに消えてしまつた
呼びかける声は 霧にさへぎられ
冷たい風だけが 黄昏を渡る薄暗い雨の光が あわく差し込んで
も...
夜が明ける前の 深い闇のなかで
古いレコード盤が 静かに回りつづけてゐる
ビリーの歌ふ「奇妙な果実」の気だるい響きが
部屋の隅の 煙草の煙に溶けてゆく
遠い記憶のやうな青いよどみ窓の外を見れば 東の空がかすかに震へ
夜明けを告げる 暁(あかつき)の光が生まれる
私の心にあるのは
いつか異国の砂漠で見...
ふと見あげれば 窓のむこうに
おおきな 白い雲がわき起こつている
それは あたらしい季節のまねき
青い空のキャンバスに ぽつくりと浮かんだ
ちひさな ちひさな 旅人のやうにわたしは ペンをそつと置いて
まだすこし濡れている 青いノートを閉じる
わすれな草のページは 胸のなかにしまつて
いま あたらし...
わたしは ノートのすみに
小さな わすれな草の絵をかく
その花びらは 空のかけらのやうに
しづかに しづかに 青くひかる
それは あなたへのひそやかな約束春の風が また頁(ページ)をめくれば
花の匂ひが 部屋にひろがる
「わたしを忘れないで」
小さな花のことばが インクの文字になって
わたしの胸のな...