自作小説 呪縛の家その7
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/05/17 19:50:12
目が覚めた時、舞子は病室にいた。室内は暗く、個室のようだったが、ドアは開いてるようで、別室の寝息がいくつも聞こえてきた。
天井から視線を動かすと点滴が見えた。それをたどって視線を動かしていく。針がささった腕に視線を移した時、舞子は自分のうでが赤いのにはっとした。ペンキだ。
「か、加奈子&hellip...
しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください
目が覚めた時、舞子は病室にいた。室内は暗く、個室のようだったが、ドアは開いてるようで、別室の寝息がいくつも聞こえてきた。
天井から視線を動かすと点滴が見えた。それをたどって視線を動かしていく。針がささった腕に視線を移した時、舞子は自分のうでが赤いのにはっとした。ペンキだ。
「か、加奈子&hellip...
「…お姉…ちゃ…?」
舞子の叫び声に加奈子がわずかに反応する。舞子自身まだフラフラする状態で加奈子の元に駆け寄ろうとして、そのまま加奈子の横に倒れこんだ。ペンキまみれでよくわからぬが、うでに新しい傷がある。深くはない。しかし、こんな状態ではまずいに決まってい...
夢は現実。現実は夢。
浩介がこの家から舞子を救出しなかったあの日から、舞子の意識は夢と現実の中で迷子のようにさまよっていた。たまに加奈子の声がきこえることがある。
「ねぇ、どうしていきなり結婚して、私を置き去りにできたの?」
「おねえちゃんは、この家からどうやって逃れたの?あの人は死んでからだって、...
浩介の母、綾子はあの家から遠ざかるに連れて、気持ちが軽くなって、深呼吸した。あの家で吸った空気をすべて吐き出す感覚が心地よかった。そして、嫁の舞子を説得したいから、つきあってくれという浩介の本心がようやくわかった気がした。あの家に呑み込まれそうな圧迫感は何だろう?浩介はあの圧迫感の中に一人で乗り込ん...
加奈子の日記××月〇〇日
まいこおねえちゃんが、おばあさまに怒られている。
「かなこが近所の店でスリしたって。店主に言われた祖母のわたくしの立場がないのがわかるわよね!?」
「・・・はい」
「納得していないのっ!?姉のあなたの責任だと言ってるのよ!」
バシッ・・・おねえちゃ...