よろめき、
 重力に濡れた花弁の震え。 街灯の下で舗道は波打ち、
 光はガラスの刃のように裂けていく。 沈黙の隙間、
 崩れ落ちる呼吸、
 主語すら曖昧な断片美に、
 牙がのぞく。     
よろめき、
 重力に濡れた花弁の震え。 街灯の下で舗道は波打ち、
 光はガラスの刃のように裂けていく。 沈黙の隙間、
 崩れ落ちる呼吸、
 主語すら曖昧な断片美に、
 牙がのぞく。     
ひとつ拾えば ただの石
 ふたつ拾えば やっぱり石
 みっつめでようやく 宇宙のざわめきが聞こえた
 ──ポケットが裂けた 哲学者は額に深くしわを寄せ
 詩人はノートを濡らし
 犬だけが 軽やかにそれをくわえて走り去る 「これは虚空の残響だ!」
 叫んでみたが 風に消え
 聞いていたのは隣人だけ そ...
瑠璃の空に浮かぶ点のように、
 あなたの存在は、私の世界に一瞬のルミネセンスを放ち、
 その後、静かに消えていった。 足音が遠ざかるたび、
 私の心はまるで、
 満月を隠した雲のように、
 その光耀を追い続ける。 イカナイデ
 その言葉は、
 波間に消えた船のように、
 もう届くことはない。 ただ、...
空気は甘く、重たく、肌にまとわりつく。 まるで誰かの吐息が、ずっと耳元に残っているような、そんな湿度。 風は吹いているのに、逃げ場がない。 それが、心地よくて、少し怖い。南の島の午後、果実の香りが空気に溶けて、 遠くで誰かが笑っている。&nbs...