疎水沿いの道をいそいそと歩く、何本目かの路地に紅殻格子を並べた町屋が続いてる。歩きなれた道である、いつもの骨董屋へ続く道のりだ。店の名前は蜂蜜屋という風変わりな看板をかかげたその店は、ガラクタ同然のネジやボタンから値の張る古陶器まである。出入りするのは子供から、背中を海老のように折り曲げた老人までと...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
疎水沿いの道をいそいそと歩く、何本目かの路地に紅殻格子を並べた町屋が続いてる。歩きなれた道である、いつもの骨董屋へ続く道のりだ。店の名前は蜂蜜屋という風変わりな看板をかかげたその店は、ガラクタ同然のネジやボタンから値の張る古陶器まである。出入りするのは子供から、背中を海老のように折り曲げた老人までと...
石畳の帰り道。敷き詰められているその石は桜石と呼ばれ、六角柱状の結晶なのだと大人になってから知った。やがて立ちこめる挽霞に気づいて道を歩く、東の空にほぼ丸い月が見え隠れする。まるで私に「早くお帰り」と囁くように、遠くで闇を縫って走る電車の音が耳にいつまでも残った。
花びらは極楽から降ってくるものだから、埋もれないように気をつけてね。こんな迷信を思い出したのは、友だちのリビングかけられていたカーテンを見たから。