Nicotto Town


✪マークは作り話でし


✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし

ガラクタ

疎水沿いの道をいそいそと歩く、何本目かの路地に紅殻格子を並べた町屋が続いてる。歩きなれた道である、いつもの骨董屋へ続く道のりだ。店の名前は蜂蜜屋という風変わりな看板をかかげたその店は、ガラクタ同然のネジやボタンから値の張る古陶器まである。出入りするのは子供から、背中を海老のように折り曲げた老人までと...

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帰り道

石畳の帰り道。敷き詰められているその石は桜石と呼ばれ、六角柱状の結晶なのだと大人になってから知った。やがて立ちこめる挽霞に気づいて道を歩く、東の空にほぼ丸い月が見え隠れする。まるで私に「早くお帰り」と囁くように、遠くで闇を縫って走る電車の音が耳にいつまでも残った。

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迷信

花びらは極楽から降ってくるものだから、埋もれないように気をつけてね。こんな迷信を思い出したのは、友だちのリビングかけられていたカーテンを見たから。

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宝石

秋の宝石箱、栗に梨。柿、蜜柑に林檎に葡萄。その色たちが宝石色のように見える。

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わすれもの

ニットの帽子は、去年あの人が買ってくれたもの。去年より今年の私によく似合う。

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