お見苦しいところをお見せしました。
この傷は、かつて私が正義と信じ、
見失ってしまったものの「名残」でございます。カフスボタンを留めるように、
私は毎日、自らの過ちを丁寧に整えます。
鏡に映る男は、一見すれば紳士に見えるでしょう。
しかし、その胸のポケットに忍ばせているのは、
決して投函されることの...
お見苦しいところをお見せしました。
この傷は、かつて私が正義と信じ、
見失ってしまったものの「名残」でございます。カフスボタンを留めるように、
私は毎日、自らの過ちを丁寧に整えます。
鏡に映る男は、一見すれば紳士に見えるでしょう。
しかし、その胸のポケットに忍ばせているのは、
決して投函されることの...
申し訳ありませんが、この雨を止める術を私は知りません。
あの日、私の指先が選んだ結末は、
今もこうして、冷えたアスファルトを叩き続けております。「許してほしい」などと、贅沢を言うつもりはございません。
ただ、この胸に空いた弾痕のような空虚に、
安物のウィスキーを注ぎ、痺れさせているだけでございます。...
午前三時のバーボンは
喉を焼くというより、記憶をなぞる。
氷が溶ける微かな音は
かつて踏み外した階段の軋みに似ている。俺たちはみな、生まれた瞬間に
名前のない借りを作って生まれてくるらしい。
それが「原罪」なんて上等な呼び名なら
利息はとっくに、この街の雨に払いきった。「すまない」なんて言葉は
弾倉...
午前三時。
グラスの縁に指を這わせ
俺は、自分の輪郭を確かめる。
飲み込んだ琥珀色の液体は
腹の底に溜まった、古い後悔の味がした。「原罪」という名の重石を
誰もが産声と共に、背中に縫い付けられる。
剥がそうとすれば血が流れるし
放っておけば、皮膚の一部として馴染んでいく。許しなんて、上等な毛布はいら...
誰もいないバーのカウンター
氷が溶ける音だけが、
静寂を汚していく。朝になれば、
この街はまた、
正義の仮面を被って目を覚ます。けれど、俺の掌には、
昔、泥を払った時の手触りが
冷たく残っている。誰も知らない。
俺自身も、思い出したくない。
ただ、胸の奥の古い傷が、
雨の前に疼くだけだ。救済なんて、...