ひとすじの青い、かなしみのやうに
夜の林の奥を ひそやかに流れる河がある
だれもそのゆくえを知りはしないのに
草の葉は かすかなその呟きをきいてゐる
樹々の梢が そっと夜空にひらいた窓から
あかるい月光がこぼれて 水の面(も)を濡らす
それは遠いむかしに失くした おまへのまたたく瞳
それとも僕が忘れ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
ひとすじの青い、かなしみのやうに
夜の林の奥を ひそやかに流れる河がある
だれもそのゆくえを知りはしないのに
草の葉は かすかなその呟きをきいてゐる
樹々の梢が そっと夜空にひらいた窓から
あかるい月光がこぼれて 水の面(も)を濡らす
それは遠いむかしに失くした おまへのまたたく瞳
それとも僕が忘れ...
夜の帳が降りる頃、
熱湯をたたえたバスタブに
荒塩をひとつかみ、無造作に投げ込む。
嘘と欺瞞にまみれた皮膚から
すべての毒を絞り出すように、
湯船に深く、深く身を沈める
熱さが骨身に染みるまで、
目を閉じ、ただじっと耐え抜け。
浮かび上がる汗こそが、戦利品だ。
次に待つのは、深淵なる暗闇の儀式。
ス...
激しい風が、輪郭を削っていく。
手のひらで冷たく冷え切っているのは、
ガラスの割れた古い懐中時計。
若く、無垢で、誰かを信じ切っていた
「過去の自分」の遺骸が、そこにある。
ねじ切れたリューズは、もう沈黙したまま。
午前四時五分。
選択を誤り、すべてを失ったあの瞬間。
嵐の咆哮は、
優しすぎた過去の...
くらい草原に 雨がふりつづいている
それは しずかに光る銀色のつぶ
風のない午後の かすかな音楽のように
みどりの葉のうえに あわくこぼれて。わたしの目には いまも浮かんでいる
雲のすきまからこぼれた、淡い光が
遠い日の あなたのやさしい眼差しのように
さびしいわたしの心に 満ちてゆくのが。ひばりは...
街は熱を失わない
アスファルトが吐き出すため息
それがこの街の夏の夜だ蓄音機が重い腰を上げる
針が溝を削るノイズ
遅れてやってくる
シドニー・ベシェのソプラノサックスあの男の吹く音は太い
甘くはない
だが、胸の奥の傷口に
ちょうどよく染み込んでくる「サマータイム」金持ちのお子様は
温かいベッドで夢を...