Nicotto Town ニコッとタウン

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誰そ彼の足跡

この部屋の鍵は
とっくの昔に 錆びついた
開けたままのドアから
夜風が 思い出を攫(さら)っていく来るものは拒まない
迷い込んだ猫も
行き場を失くした 嘘つきな女も
俺と同じ 迷子の種族だ差し出されたグラスに
注がれるのは 安物の慈悲
それを飲み干せば
胸の傷口が 少しだけ熱くなる「帰れ」と言うほど...

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開かれた扉

街の喧騒を遠くに聞く、古びた事務所。
入り口のドアに鍵が掛かることはない。
「来る者は拒まず」
それが、この場所の静かな掟だからだ。琥珀色の液体がグラスの中で揺れ、
使い古された椅子が、主を待っている。
迷い込んだ者、
行き場を失った真実、
あるいは、語られることのない孤独。この部屋を訪れる者は、
...

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錆びた鍵の行方

「もう、いいの」
その声は、雨音よりも静かに、
俺の胸に冷たい杭を打ち込んだ。追おうとすれば、届いたはずだ。
その細い肩を抱き寄せ、
嘘でもいいから「行くな」と、
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。追いかけないのは、誇りじゃない。
ただ、追った瞬間に、
俺たちのすべてが「間違い」に変わるのが怖かった...

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硝子越しの挽歌

夜の底に、重たい雨が降っていた。
カウンターの隅、氷が溶ける音だけが、
静寂の輪郭をなぞっている。背後でドアが開く音がした。
お前の香水の残り香が、
湿った空気と混じり合って、
一瞬、心臓の奥を掠めていった。「もう行くわ」
その一言に、俺は琥珀色の液体を煽る。
引き止める言葉は、
とうの昔に雨樋(あ...

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銀色の孤独

夜の底を叩くのは、エンジンの咆哮とこの香りだけです。
ジャック・ゲランが閉じ込めたのは、ただの香料ではありません。
それは、帰還を約束されない男たちの、硬質なプライドそのものです。1. 離陸の鋭い切っ先
まず、ガルバナムが鼻腔を突き抜けます。
これほどまでに冷たく、容赦のない緑を、私は他に知りません...

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