ニコ店にて中也オマージュー
- カテゴリ: ニコみせ
- 2026/04/11 08:27:12
迷い路の商店街
汚れつちまつた商店街に
けふも氷雨が降つてゐる。
看板の文字は剥げ落ちて
錆びたシャッター、ひそやかな。一、
「雲を売る店」の軒下で
痩せた店主が欠伸(あくび)する
わたあめみたいな、はかない雲は
買つたとたんに消えてゆく
――ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん二、
「昨日の記憶」...
迷い路の商店街
汚れつちまつた商店街に
けふも氷雨が降つてゐる。
看板の文字は剥げ落ちて
錆びたシャッター、ひそやかな。一、
「雲を売る店」の軒下で
痩せた店主が欠伸(あくび)する
わたあめみたいな、はかない雲は
買つたとたんに消えてゆく
――ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん二、
「昨日の記憶」...
場違いなほど白いクロスの角
タバコの灰が、音もなく落ちた。
ここは「沈黙」を前菜に出す店。
客は皆、自分の影をクロークに預け
名前を忘れたフリをして、椅子を引く。隣の店は「昨日」を煮込むキッチン。
焦げ付いた後悔と、少々のスパイス。
シェフは一度も顔を見せないが
出されるスープは、驚くほど冷たくて苦...
雨は、やがて優しく細い糸へと変わりました。
重く濡れたコートを脱ぎ捨てるように、雲の間からかすかな光が差し込みます。「ようやく、止みましたね」
見上げた空には、洗い流されたばかりの星が瞬いています。
泥にまみれた花弁も、潤いを得て、どこか誇らしげに路面を彩っている。
失ったものは戻りませんが、洗い流...
濡れたアスファルトに、叩きつけられた花弁が張り付いています。
もはや宙を舞う自由さえ、この雨は許してはくれないようです。「あいにくの天気ですね」
傘も差さず、ただ濁った水たまりを見つめます。
洗われることのない罪と、流し切れない後悔。
雨粒は容赦なく、視界を、そして熱を奪っていく。
ですが、それでい...
舞い散る花弁は、二度と枝へは戻りません。
吹き抜ける風の数だけ、誰かの執着が宙に迷うのです。「美しいですね」
吐き出した煙に、淡い色が混ざり合います。
ですが、この街でその言葉に価値はありません。
ただ散るだけの優雅さより、地に落ち、泥にまみれる覚悟を。
風に抗うことなく、されど心までは折らせない。...