『精霊の世界、星の記憶』 第8話「花の精霊」
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/06/02 19:42:50
第二章 アプリコットの野
「花の精霊」
シルビアはそのままうつむいて、しばらく静かに目を閉じていた。砂金のように美しい髪が、ぱらぱらと背から肩の方へ流れるようにこぼれていった。星史は何か変なことを聞いてしまったのかと、気まずい感じを覚えた。シルビアに何か言おうと星史は必死に言葉を探した。そうあれこれ...
第二章 アプリコットの野
「花の精霊」
シルビアはそのままうつむいて、しばらく静かに目を閉じていた。砂金のように美しい髪が、ぱらぱらと背から肩の方へ流れるようにこぼれていった。星史は何か変なことを聞いてしまったのかと、気まずい感じを覚えた。シルビアに何か言おうと星史は必死に言葉を探した。そうあれこれ...
レモンバーム
今朝、庭で摘んだ
レモンバームにお湯を注ぐ
レモンの香りが立ち上り
淡い緑色の液体が
ティー・ポットに溶け出していく
レモンバームは
ギリシャ語では「メリッサ」
蜜蜂のことらしいが
まるで白衣の...
星史は急すぎて「えっ?」と訳がわからなかったが、なめらかで心地よい風が、グルグルグルっと渦を巻き始めた。そして風がもとの穏やかな線をなめらかに描き流れ出すと、絹のように美しく長い銀色の髪をした少女がそこに立っていた。その少女の瞳の色は、アメジストのような紫色だった。目が合ったとたん、星史はその瞳に吸...
第二章 アプリコットの野
「風の精霊」
紅い花、黄色い花、青い花、紫色の花……と、お花畑には何種類ものいろいろな花が、美しく可憐に咲いていた。星史は二日間、シルビアと歌を歌ったり、時々休みながら歩いてきた。皮のようになめらかなスエードの葉の袋の水は、もう少なくなっていた...
白い鳥
思いを残して死した者は 思いの方を見ようと首を長くする 思いを残して死した者は 思いを遂げようと鳥となって空を飛ぶ
それは純粋なる望み それは切なる思い 思いの強さを翼にして 白い鳥となって空を舞う
白...