Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



静かなる引き際

「富を失えば多くを失う」と申しますが
持たぬゆえの軽やかさも、あるのでございます
重い荷物をすべて野原に置いてみれば
どこへでも行ける風になれることに気づきましょう。
空っぽの器にこそ、新しい光は満ちるのです。「友を失えばさらに多くを失う」と申しますが
ひとりの静寂も、また尊いものでございます
誰の...

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好きなクレープのトッピングは?

「生クリーム抜きで」
俺の注文に、若い店員が眉をひそめる。
甘い誘惑など、この街の硝煙の中ではノイズに過ぎない。選ぶのは、ただ一つの「イチゴ」だ。
クレープの薄い皮に包まれた、鮮血のような赤。
それはかつて、裏切りに染まった夜の記憶を呼び起こす。「チョコソースは?」
余計な世話だ。
人生の苦みを知る...

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鋼鉄のナルシス2

鏡の中のそいつは、プロテインの粉末で肺を汚している。
安物のバーボンより、鶏のささみの茹で汁を愛する男。
鋼の鎧を纏ったつもりだろうが、俺に言わせれば、
それはただの、脱げなくなった重すぎる着ぐるみだ。「昨日のデッドリフトがさ……」
聞き飽きた。
お前の背筋がどれだけ唸ろ...

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孤独なワルキューレ

サラダのドレッシングを断るその声は、
まるで弾丸を装填する音のように硬質だ。
「デフィニションが甘い」
吐き捨てた言葉が、冷えた店内に虚しく響く。細い指先がなぞるのは、恋人の頬ではなく、
大腿四頭筋に刻まれた、筋(ストリエーション)の深さ。
女を捨てたわけじゃない。
ただ、柔らかさという逃げ道を、
...

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鋼鉄のナルシス

奴の血管は、浮き出た地図のようだ。
どこへも辿り着かない、迷路のような地図。
安物のプロテインの香りが、
バーボンの香りを台無しにしている。「今日はパンプが足りない」
奴がそう呟くたび、
俺の胃の底には、冷めたコーヒーのような苦みが溜まる。
上腕二等筋を誇示するために、
奴のシャツの袖は、いつだって...

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