街が錆びつく時間。
煙草の煙が、ネオンの嘘を隠した。
誰も俺を呼ぶ声はない。
それが俺の、静かな異端だ。ウイスキーに指紋を沈め、
誰かの正義を笑う。
正解なんて、最初からどこにもない。
あるのは、濡れたアスファルトの冷たさだけだ。「聖者」が裏切りの法を説き、
「善人」が鏡の向こうで泣く。
俺はただ、...
街が錆びつく時間。
煙草の煙が、ネオンの嘘を隠した。
誰も俺を呼ぶ声はない。
それが俺の、静かな異端だ。ウイスキーに指紋を沈め、
誰かの正義を笑う。
正解なんて、最初からどこにもない。
あるのは、濡れたアスファルトの冷たさだけだ。「聖者」が裏切りの法を説き、
「善人」が鏡の向こうで泣く。
俺はただ、...
夜がアスファルトに溶け
街灯が錆びた光を零す
群れは右へ曲がり
俺は一人、左へ舵を切る「普通」という名の
出来の悪い喜劇が幕を下ろす時
俺は冷え切ったバーの隅で
異端の味を、氷ごと噛み砕く正義なんて言葉は
安物のバーボンで洗い流した
他人の地図にない場所だけが
唯一、俺の息を繋ぐ聖者たちは天国を語り...
標的は、カレンダーにない場所カレンダーの赤い数字が、街を熱病に浮かせる。
群衆は幸福という名の切符を握りしめ、
出口のない迷路へ、一斉になだれ込んでいく。俺が求めるのは、そんな賑やかな地獄じゃない。1. 霧に沈む、最果ての岬
観光客の笑い声が届かない、断崖の際。
潮風が、ライターの火を何度も奪い去る...
丘の上の大浦天主堂は、月明かりの下で骨董品のような輝きを放っていた。
白亜の壁は夜の闇を跳ね返し、天に伸びるゴシック様式の尖塔は、まるでこの街の罪を天に報告するアンテナのようだった。俺は祈念坂の途中で足を止め、息を整える。
石畳の坂道は、誰かがこぼしたインクのように黒く光っている。
背後から聞こえる...
街灯がアスファルトに、湿った光の輪を落としている。
この街の月は、余計なものまで照らし出しすぎるのが欠点だ。
路地裏のゴミ溜めも、俺の飲み残した安い後悔も。角を曲がれば、見慣れたバーの看板が、
不機嫌なダイオードを震わせて瞬いている。
追っ手はいない。だが、静寂が一番厄介な追跡者だ。
耳の奥で、さっ...