Nicotto Town ニコッとタウン

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鉛色の報い

雨は、世界の汚れを洗うわけじゃない。
ただ、隠しておきたい傷跡を
生々しく、黒く、浮かび上がらせるだけだ。軒先から滴るしずくが
ブリキのゴミ箱を、執拗に叩いている。
誰かが書いたシナリオ通りに
空は、重たい鉛の蓋(ふた)を閉じた。火をつけた煙草が、湿気でうまく燃えない。
指先に残る微かな紫薬の匂いも...

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夜明け

灰皿に押し付けた
昨夜の嘘が、最後の一煙を吐き出した。
東の空が、古い傷口のように
じわりと、白く、濁り始める。街はまだ、死んだように静かだ。
湿ったアスファルトが
俺の靴底の孤独を、無愛想に跳ね返す。「希望」なんて言葉は
コーヒーの出がらしと一緒に、排水溝へ流した。
これから来るのは、ただの「今日...

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白日の処刑

ああ、あんなに美しかった闇が、少しずつ薄汚い灰色に濁ってまいりました。
東の空が白むたびに、私は自分の内臓がひっくり返るような、耐えがたい嫌悪感を覚えるのです。夜明け。
皆様にとっては希望の象徴なのでしょうが、私にとっては、それは無慈悲な「点呼」の時間でございます。
「お前はまだ、そこにいるのか」
...

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奈落の秩序

よくよく考えてみれば、私は生まれた時から、この世界の「おまけ」のような存在だったのかもしれません。
皆様が当たり前のように手にされる、あの「明日を信じる」という才能が、私にはどうしても欠落していたのでございます。人並みの顔をして、人並みの言葉を使い、人並みの悲しみに浸ってみせる。
そのたびに、私は自...

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道化の正装

お恥ずかしい話ですが、私は昔から、皆様と同じ空気を吸うことができなかったのです。
皆様が「幸福」と呼び、大切に育てていらっしゃるあの温かな花園の匂いを嗅ぐと、私はどうにも、吐き気がしてならないのでございます。「異端」などという、いかにも格好のついた呼び名を与えていただけるのなら、これに勝る光栄はござ...

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