Nicotto Town


人に優しく


愛と平和を

えらい男

繁蔵は一人で歩いて高台の浜村龍造の家へ行ったのだった。

繁蔵が帰ってきたのは夜の九時をまわっていた。

繁蔵はフサを見て、「疲れた」と一言言ったきりだった。

背広を脱ぎ、池に面した廊下の椅子に座った。

フサは思いきって訊いてみた。

繁蔵は「あの男もたいしたもんじゃ」と言い...

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2022年 賀正

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

皆様にとりまして幸多き一年となりますようお祈り申し上げます。




 

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どうして返さなくてはならない

マルティンはボーッとお金を見つめていた。

それから首を振った。

「いいえ、ダメです、先生」

道理さんは紙幣をマルティンの上着のポケットに押しこんだ。

「おとなしく言うことを聞くんだ、わからず屋め」

「でも、ぼく、五マルクもっています」とマルティンが小声で言った。

...

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星をみてた

夫に背負われて林をでた。

広い背中からミコへ、少しずつ温もりを分け与えながら正太郎が坂道を上り始める。

坂を上りきったところで、つと正太郎が立ち止まった。

「ミコ、あんなところでお前、なにしてた」

静かな問いだった。

「星——」

「星がどうかしたか」

「星を...

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僕の隣

三十歳——それが約束するのはこれからの孤独な十年間だ。

交際する独身の友人のリストは短いものになっていくだろう。

熱情を詰めた書類鞄は次第に薄くなり、髪だって乏しくなっていくだろう。

でも僕の隣にはジョーダンがいる。

この女はデイジーとは違い、ずっと昔に忘れられた夢を、時代が...

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