この街の吹き溜まりには
「格言(ことわざ)」を食って生きている
博識ぶった寄生虫がよく似合う奴はまた カビの生えた智慧を
安物のソーダ割りで流し込み
したり顔で 人生の攻略法を説いている「止まない雨はない」だと?
笑わせるな 博士
あんたがそう宣っている間にも
路地裏じゃ 降り続く雨の中で
息絶えて...
この街の吹き溜まりには
「格言(ことわざ)」を食って生きている
博識ぶった寄生虫がよく似合う奴はまた カビの生えた智慧を
安物のソーダ割りで流し込み
したり顔で 人生の攻略法を説いている「止まない雨はない」だと?
笑わせるな 博士
あんたがそう宣っている間にも
路地裏じゃ 降り続く雨の中で
息絶えて...
外はひどい土砂降りだ
天がこの街の罪を
洗い流そうと躍起になっているカウンターの隅
隣の男が酔いに任せて
「世界は変えられる」と宣(のたま)う
その声は 氷が溶ける音より軽い綺麗ごとってのは
ここじゃただの 質の悪いジョークだ
磨き上げられたバックバーの鏡に
映る自分を直視できない奴が
間に合わせに...
正義なんて言葉は
安酒のチェイサーにもなりゃしない
飲み干せば喉を焼くのは
いつだって 剥き出しの現実だ「明日はきっと良くなる」
そんな台詞を吐く奴に限って
返り血の落とし方も知らない
綺麗な指先をしている愛だの 希望だの
磨きすぎた硝子細工は
この街の硬い石畳に落とせば
一瞬で ただの凶器に変わる...
午前二時、ブルーノートの盤が回る
針が拾うのは、都会の煤けた溜息だ
Cool Struttin'のジャケットのように
見知らぬ女のハイヒールが、アスファルトを冷たく叩くお前のピアノは、バーボンの味がする
最初は軽快なステップで誘い出し
気づけば、逃げ場のないブルースの闇に突き落とす
指先が鍵盤に触れ...
カウンターの隅、止まったままの時計。
マスターは何も聞かず
ひび割れたグラスに、毒のような琥珀を注ぐ。氷が溶けて、カランと鳴った。
それがこの街で、唯一信じられる音だ。
薄まった安酒が、荒れた喉を焼き
胃の底に眠る「後悔」を、静かに揺り起こす。「お代わりは?」
首を振って、最後の一口を飲み干した。
...