Nicotto Town


もふもふ0304


ファイヤーエムプレスローズ 8

 綿の国の王と中の国の王子は、薔薇の国の軍の前に進み出ました。 王は跪いて言いました。 「私の民を傷つけないで欲しい。私ができることなら何でもしよう」続いて王子が、地面に這い蹲って言いました。「私の部下の命をお救いください。その為なら、私の首も喜んで差し出します」「貴国の民には手出しはしませぬ。また...

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ファイヤーエムプレスローズ 7

 爺やといえば小さい頃、お姉さまたちと庭仕事をしたことがあったっけ、と、末の姫は思い出しました。 薔薇の国においては、音楽や乗馬などと並んで、園芸も貴族の趣味の一つとされています。貴族の子弟は成人するまでに一通りの基礎を身に着けておくべきとされているので、庭師の地位は、学問や教養の師と同じような位置...

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ファイヤーエムプレスローズ 6

 石の国の捕虜の兵士たちは、困惑していました。 捕虜生活というものは、もっと寒くてひもじくて過酷なものではないのか、と。  暖かく快適な部屋に寝具に食事、飢える心配も凍える恐れもなく、そのうえ働く必要もないなんて、心配しているだろう故国の家族に申し訳ない気持ちでいっぱいです。収監されている場所さえ地...

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ファイヤーエムプレスローズ 5

 中の国の王子は、混乱していました。 なぜ自分は今、丸腰で白旗を持って、城門を出なければいけないのか、と。 右を見れば、綿の国の王がいます。二年前、城壁の周囲を中の国の兵に取り囲まれ白旗を持って出てきたこの男は、二年後にまたもや白旗を持って自分の城を明け渡す羽目になっているというのに、どこか落ち着い...

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ファイヤーエムプレスローズ 4

 薔薇の国と中の国に挟まれた小国の一つに、二年前、突然中の国が侵攻を始めました。 綿花や綿織物の生産が盛んなこの国を、綿の国と呼ぶことにします。 長く戦争のない時代が続いていたため、悪く言えば平和ボケしていたこの小さな国を、ある日、中の国の兵隊が、文字通り国ごと取り囲みました。形式的に置かれていた国...

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