Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



混血(ミックス)のシルエット

三発目の汽笛が、埠頭の静寂を切り裂いた
もやの中から浮かび上がったのは
彫りの深い、硝子細工のような横顔だ彼女は東洋の静寂と
西洋の激情をその瞳に宿していた
濡れたトレンチコートを纏い
霧を吸い込んだサックスのように
少しかすれた声で、彼女は呟く「この船に乗れば、昨日は消えるのかしら」差し出した俺の...

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琥珀の残り火

朝もやを切り裂く汽笛は
古いレコードの針飛びに似ていた
路地裏の二階、看板の消えたJAZZ喫茶
スピーカーからは
コルトレーンの咆哮が埃と共に舞い上がる昭和という名の重たいコートを
俺たちはいつまで脱げずにいるのか
カウンターに残された琥珀色の指紋
氷の溶ける音だけが
饒舌に過去を語りだす「あいつは...

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朝もやの汽笛

バーボンの匂いと
昨夜の賭けの残骸が
トレンチコートの襟にこびりついている港の朝は早い
冷えた空気が肺に刺さり
感情のささくれを凍らせていく遠く、霧の奥から
男の別れのような低い汽笛が響いた
誰かが去り、誰かが残る
この街のいつもの儀式だポケットの中でライターを転がす
火をつけるべきか、このまま消え...

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霧の墓標

夜が明けきらぬ埠頭は
冷えたコーヒーのように苦い
白く濁った朝もやの向こう
見えない巨獣が吠えた
——汽笛だ。湿った風がコートの襟を叩く
消えかけた街灯の下
昨日の嘘を海へ投げ捨てたが
波の音は何も許してはくれない鉄錆の匂いと
誰かが残した安煙草の残り香
世界が目覚める前の
...

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自慢話の終焉

カウンターの端で 男が傷を数えていた
安っぽいウィスキーの氷を転がし
「俺の地獄はこんなもんじゃない」と
頼みもしない履歴書を よだれと一緒にぶちまける借金、裏切り、癒えない古傷
奴にとって 不幸は唯一のドレスコードらしい
だが 聞き飽きたレコードの針飛びのように
同じ悲劇が 夜の静寂を汚していく「...

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