自作小説倶楽部7月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2024/07/31 22:50:10
【人魚姫】
「あなたは人魚なんでしょう?」突然投げかけられた言葉に呆気に取られて私は少女の顔を見返した。輝くような金髪に海のような青い瞳。少女の方がよっぽどおとぎ話の人魚姫らしかった。小さいから妖精だろうか。いずれにせよ子供の頃から赤毛と縮れ毛に悩まされた私よりすっと綺麗だ。「メイドさんたちがそう言...
【人魚姫】
「あなたは人魚なんでしょう?」突然投げかけられた言葉に呆気に取られて私は少女の顔を見返した。輝くような金髪に海のような青い瞳。少女の方がよっぽどおとぎ話の人魚姫らしかった。小さいから妖精だろうか。いずれにせよ子供の頃から赤毛と縮れ毛に悩まされた私よりすっと綺麗だ。「メイドさんたちがそう言...
「依頼人」
母がおかしくなったんです。元々しっかりした人でシングルマザーになったのも余程の理由と決意があったのだと子供心に察せられる雰囲気がありました。それでも、時々寂しそうで、私は少しでも母の慰めになろうと勉強や家の手伝いを頑張りました。やっと七歳になる私に母は学校で上手くいっているか、先生は頼り...
評価★31,大鴉の啼く冬2,白夜に惑う夏3,野兎を悼む春4,青雷の光る秋5,水の葬送6,空の幻像 実在するイギリス最北端の諸島を舞台に事件に執念深く立ち向かうペレス警部と狭いコミュニティのあれこれが描かれる。時間の流れはよくわからないけど1年に2回のペースで凶悪殺人事件が起こってるようなww。事...
『記憶の大樹』
事が起きたのは6月の文化祭だった。僕の絵が盗まれたのだ。放課後に片付けのために集まった部員たちは渦巻き状の金具に残された切れ端を見つめ呆然としていた。美術部の部室に作品が展示される中、僕の絵だけがスケッチ帳から破り取られていた。教室内にいた生徒や父兄の誰も気づかぬ犯行だった。美術部と...
「黒猫と少女」
は、いけない。いけない。あたしは、窓ガラスに息を吹きかけると雑巾で拭いてゆく。窓の外には重い灰色の空が立ち塞がっていて恐ろしいように感じた。目をつむりそうになって首を振り、作業を続ける。死んだばあちゃんに「お前はぼんやりだ」と随分注意された。ばあちゃんが死んで働きに出て何年だろう。ぼ...
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