もうひとつの夏へ (1)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/08/18 01:47:51
その日は朝からやけに蝉がうるさかった。今思えばあれが虫の知らせって奴だったかも知れない。
毎晩の暑さにうなされ、今夜もようやくうとうとし掛けた時に、不意に電話が鳴った。
「見たことのない番号だな」
普段なら出たりはしないのだが、なんとなく通話ボタンを押してしまった。
「もしもし」女の声だった...
その日は朝からやけに蝉がうるさかった。今思えばあれが虫の知らせって奴だったかも知れない。
毎晩の暑さにうなされ、今夜もようやくうとうとし掛けた時に、不意に電話が鳴った。
「見たことのない番号だな」
普段なら出たりはしないのだが、なんとなく通話ボタンを押してしまった。
「もしもし」女の声だった...
人の世の、喜びも悲しみも
悠久の宇宙では一瞬の星の瞬き
万物が流転
そう全てが最初から仕組まれていたこと
宇宙で、底知れぬ闇の淵で
いつ果てるともしれぬ無数の光の消長を見続ける者
そいつが仕組んだ、余りに巨大で余りに馬鹿げた
イリュージョン
なれば、すべては幻で、虚ろなる夢に過ぎず...
傷つけあい、涙を流させた夜明け
互いに許しあう術を知らず
道を分かち合ったね
互いの距離は離れてゆくけど
出会った日のときめきは、今も焼きついているよ
失くした者の、大きさに気づいて
けれども、動き出すには遅すぎて
眠れない夜に、一人
君のくれた優しさを想い出す
僕の背中にも、貴女...
ちょっとした解説とその後のリンクする物語。
前回のブログですが、当初のプロットと大きく着地点がずれてしまいました。
最初はラブレターを渡して、終わりの予定でしたが。
読んで頂いた通り、ラブレターは渡されていません。
結局、奇跡的な時間を共有した2人が自然と結ばれる話になったわけです。
なぜ...
僕は、一体なにをしているのだろう?
30mほどのそびえ立つビルを見上げながら、恭介は考えていた。
角を曲がり、彼女と出会ったのが、ほんの数分前・・・。
角を曲がって、くるりと180度回ってもどるのはかなり怪しい。
だからといって、そのまま大富豪ビルに飛び込む理由も僕にはない。
どうするどう...
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