風のわたる 森のほとりで
ぼくはひとりで ゆめをみてゐた
とほい空から はこばれてきた
あはいいろの ひかりのつぶらおとづれるもの みな いそがなく
きえてゆくもの みな うたかたの
こころのしづくが 水面(みなも)にゆれて
せつないひびきを かなでてゐるきみのわらひごえが きこえるやうな
きみのさ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
風のわたる 森のほとりで
ぼくはひとりで ゆめをみてゐた
とほい空から はこばれてきた
あはいいろの ひかりのつぶらおとづれるもの みな いそがなく
きえてゆくもの みな うたかたの
こころのしづくが 水面(みなも)にゆれて
せつないひびきを かなでてゐるきみのわらひごえが きこえるやうな
きみのさ...
あをい夕闇の すそをひいて
大きな三日月が かかつてゐた
それは まるで 銀のしづくのやうに
ひそやかに 空を わたつてゆく風は 梢を やさしくゆすり
わたしたちの むかしのものがたりを
だれもゐない 森の奥へと
そつと はこんで ゆくのだらうかきみのひとみの やさしい光
ぼくのむねの ひとすじのさ...
バーボンが喉の奥で火を噴く
窓を叩く冷たい雨の音だけが
この部屋の正しいBGMだった
煙草の煙が天井のシミに吸い込まれていく「理由なんて聞くな」
お前の細い指が、俺のグラスに触れる
濡れた黒髪から滴るしずく
何もかも、説明はいい
言葉にすればするほど、真実が薄れていく夜があるサイドカーのグラスを傾け...
冷たい雨が、オフィスを兼ねた安アパートの窓を叩いている。
ネオンの灯りが、割れた硝子のように床へ散らばっていた。
机の上には、埃をかぶったバーボンのボトル。
そして、決して開けることのない、紫色の古いラベルの瓶。「ライラック・ワイン」お前はそう呼んで、悪戯っぽく笑っていたな。
あの春、街外れの古い樹...
ある曇った秋の日の暮方である。一人の男が、雨やみを待つやうに、自らの言葉のゆくえを眺めていた。そもそも「言霊」などといふものは、多分に怪しげな、あるいは哀れな、人間の錯覚にすぎない。言葉に魂が宿るのではない。人間が言葉といふ頼りない器に、己の肥大した自尊心や、見窄らしい欲望を無理に詰め込んでいるだけ...