『おじ様、おば様、そして孝也くんへ
今まで、本当にお世話になりました。こんな形で黙って出て行くことを許してください。
今回の突然の孝也くんとの婚約は、窮地に陥った私のために、孝也くんにお願いをして、偽の婚約をしてもらったんです。
おじ様とおば様には本当に申し訳なく思っていま...
『おじ様、おば様、そして孝也くんへ
今まで、本当にお世話になりました。こんな形で黙って出て行くことを許してください。
今回の突然の孝也くんとの婚約は、窮地に陥った私のために、孝也くんにお願いをして、偽の婚約をしてもらったんです。
おじ様とおば様には本当に申し訳なく思っていま...
翌朝。 昨日の自分の行動がとてもはずかしくって、孝也と顔を合わせるのが気詰まりな玲は、孝也が出社してから起き出して来た。
「おはようございます。」
朝の10時も過ぎた頃なので、孝也の両親も夏季も朝ごはんをすっかり食べ終えていた。
「あ、おはよう。玲さん。―――身体の方はもう大丈...
決して自分の気持ちは言えないけども、でも、話せるところまで話そうと玲は決心したのだ。
「私の都合で、孝也くんに婚約者の代わりをやってもらってるのが、すっごく孝也くんに悪いなって・・。」
孝也は話し始めた玲の言葉を黙って聞いている。
「仕方なかったのかも知れないけど、おじ様とおば様を...
壁の時計は3時15分を回っている。
(こんな時間に起きてるんだもん。誰だかわかんないけどコーヒーとかって飲むかなぁ・・・)
玲は思い切って書斎のドアをノックした。
「―――はい・・・。」
書斎のなかからくぐもった男の人の声が聞こえる。
玲がその返事を受け扉を押し開ける...
「ねぇ、ママ。今日もお話して?」
夜。
自分用のベッドに潜り込んだ花音はいつものように母親に寝物語を頼む。
「そうねぇ。今日はどんな話がいいのかしら?」
「んとね~、ほら、お姫様が氷になる話。」
それを聞いた母親が微笑んだ。
「まぁ、花音。あれは氷になる話じゃないわよ?」
「でもでも...