終着駅。吐き出す息は白く、レールはそこで途切れている。「ここで終わりだ」
俺の声は、凍りついた空気の中へ吸い込まれた。
女は答えず、ただ古びたトランクの端を握りしめている。背後の改札口、錆びた時計の針が重く刻む一秒。
街の灯りは遠く、追いかけてきた過去もここまでだ。
この先、鉄路は雪に埋もれ、ただの...
終着駅。吐き出す息は白く、レールはそこで途切れている。「ここで終わりだ」
俺の声は、凍りついた空気の中へ吸い込まれた。
女は答えず、ただ古びたトランクの端を握りしめている。背後の改札口、錆びた時計の針が重く刻む一秒。
街の灯りは遠く、追いかけてきた過去もここまでだ。
この先、鉄路は雪に埋もれ、ただの...
コーヒーは冷え、灰皿は限界だった。
窓の外、アスファルトが薄く白んでいく。
午前四時の街には、まだ誰もいない。コートの襟を立て、鍵をテーブルに置く。
金属が鳴らす乾いた音が、部屋の静寂を切り裂いた。
俺は一度も振り返らずに、ドアを開ける。階段を降りると、霧が肺の奥まで入り込んだ。
一晩中、誰かの嘘を...
バーボンのグラスに残った氷が、
二月の夜の深さを物語っている。
街の騒音は、白く降り積もった雪に吸い込まれた。
静寂、それだけがここにある。窓の外にはスノームーン。
街を支配する、白く冷酷な満月。
誰の情にも染まらぬ、純白の裏切り者。そのすぐそばで、
レグルスが小さく青白くまたたいている。
獅子の心...
冷たい雨が、アスファルトの熱を奪っていく。
掃き溜めのような街の片隅で、そいつは場違いなほど白く立っていた。スノードロップ。
「希望」なんて甘い名前を背負わされた、冬の終わりの生き残りだ。凍てついた土を割り、誰に頼まれるでもなく頭(こうべ)を垂れる。
その姿は、罪を悔いる聖者のようでもあり、
あるい...
爆ぜる火の粉を 舌先で転がす
奴がぶち壊し 逃げ出したあとの
無残な焼け跡が 今日の仕事場だ「馬鹿な真似を」と 誰かが笑う
裏切った男の 尻拭いなど
聖者のすることだと 嘲笑 わら)えばいい_だが これは 奴への情けじゃない
ましてや 赦しでもない
俺が俺であるために 必要な儀式だ投げ出された 責任...