懐の軽さと 魂の重さは比例しない
欲望という名の 底の抜けた器(コップ)に
注ぎ込むための金など 一銭もありはしない「いくら積めば動く」と抜かした奴に
俺の視線の 時価総額が払えるか
札束の厚みで 弾丸の軌道は変えられない損得を数える暇があるなら
その濁った瞳を 雨で洗って出直してこい
俺が賭けるの...
懐の軽さと 魂の重さは比例しない
欲望という名の 底の抜けた器(コップ)に
注ぎ込むための金など 一銭もありはしない「いくら積めば動く」と抜かした奴に
俺の視線の 時価総額が払えるか
札束の厚みで 弾丸の軌道は変えられない損得を数える暇があるなら
その濁った瞳を 雨で洗って出直してこい
俺が賭けるの...
足元で、微かな震えが雪を揺らした。
見捨てられたベンチの影、丸まっていたのは一匹の野良犬だ。
肋骨が浮き出るほど痩せ、氷のような風に、ただ命の灯火を差し出している。俺は黙って、使い古したウールのマフラーを解いた。
高価な代物じゃないが、俺の体温だけはたっぷり吸い込んでいる。
「運がなかったな」
言葉...
石造りの尖塔が、鉛色の空を突き刺している。
降り続く雨は、祈りの言葉さえも地上へ叩き落としていた。教会の扉は重く、沈黙を守っている。
ステンドグラスの聖母は、
冷たい雫に濡れながら、救うべき魂の数を数えていた。俺のコートに染み込むのは、ただの雨水ではない。
この街にこびりついた、罪と後悔の重みだ。懺...
午前二時、都会の底。
古びたトレンチコートが重く水を吸い、
アスファルトに反射するネオンの光が、
割れた鏡のように砕けて散っている。
この街の雨は誰かを癒やすためではなく、
ただ輪郭をぼかすために降り続く。湿った風が路地裏を吹き抜け、
指先の感覚を奪っていく。
暗闇の中で灯る小さな火花は、
冷たい大...
プラットホームの端、レールは不親切に途切れている。
そこから先は、地図にも載らないただの闇だ。
「ここが君の望んだ場所か」
俺の問いに、女は黙って冷えた風を吸い込んだ。
重いトランクの中身は、二人で分かち合えなかった過去の残骸。
改札を出れば赤の他人。
錆びた転轍機(ポイント)のように、俺たちの心は...