花を携えお盆の墓参りに行った電車に乗るとうまい具合に席が一つ空いていた
席に座り前を見ると一人の中年の女性の紙袋に目がいった
膝に抱えていたのは黒字に金色の虎が描かれた紙袋
虎屋の羊羹である
「食べたいな」甘党の自分はそう思った
そう言えば亡き父も羊羹が好きだった父の祥月命日にはその店の羊羹を供えた...
花を携えお盆の墓参りに行った電車に乗るとうまい具合に席が一つ空いていた
席に座り前を見ると一人の中年の女性の紙袋に目がいった
膝に抱えていたのは黒字に金色の虎が描かれた紙袋
虎屋の羊羹である
「食べたいな」甘党の自分はそう思った
そう言えば亡き父も羊羹が好きだった父の祥月命日にはその店の羊羹を供えた...
紫陽花が霧雨の中に泣いている
青い涙が一つ地面に吸い込まれていく雨音さえ聞こえない静寂の中
わたしの愛が一つ零れ落ちたそして音もせずに地に消えて行った
霧雨は降り続ける紫陽花が悲しく青く光っている
やさしく風が吹いたわたしの頬を撫ぜた
ふと見ると白い蝶が紫陽花に羽を休めていた
紫陽花を慰めるようにそ...
紫陽花は星なのかもしれないそれは朝露とともに輝き始める
青、紫、ピンク、白それはしっとりと輝き始める
振り返りざまにわたしがあなたを初めて見たときの輝きだ
昼間は日差しを浴びてさらに輝く日陰の花は落ち着き払って存在する
わたしが初めてあなたと話した時に見た笑顔の輝きだ
街中に紫陽花が咲いている星の束...
23時を時計の針が差すわたしの記憶が過去へ歩き出す
チックタック静かな部屋に秒針の音が響く
ベッドに寝転び白い天井を見ながら指でハートのマークを描く
目をつぶるするとそこは海だ
熱くなった砂の上を素足で歩いているあなと
波の音が聞こえる潮の香りがする
どこまでも歩いていく二人で
もしかして24時を過...
つないだ手がちょっと重いそんな春の一日
もうすぐ梅雨なのかなわたしの心も曇り空
家を出てから沈黙が5分は続いている
ちょっと歩く速度がいつもより早い機嫌が悪いときはいつもそうだ
駅へと続く小路紫陽花がきれいだ
ストップ!彼の手を強く握った
うす紫のきれいな花びらに白い蝶がとまっていた
紫陽花にも蜜が...