もうひとつの夏へ 【6】
- カテゴリ: アルバイト
- 2011/08/30 19:33:22
子供たちのにぎやかな声と
母親たちの冷たい視線に押し出されるように公園を後にした。
(これからどうしたらいいんだ?)
そもそもこれは何なのだろうか?
夢? それにしてはリアルすぎる。
現実? こんな馬鹿げた現実があるはずがない。
……どっちでもいいか。
とり...
子供たちのにぎやかな声と
母親たちの冷たい視線に押し出されるように公園を後にした。
(これからどうしたらいいんだ?)
そもそもこれは何なのだろうか?
夢? それにしてはリアルすぎる。
現実? こんな馬鹿げた現実があるはずがない。
……どっちでもいいか。
とり...
2人は宙に舞った。
そして雪美を抱きかかえるようにして、左肩から地面に叩きつけられた。
衝撃を防ごうと、手を後ろへ伸ばそうとも考えたが
結局雪美の保護を優先してしまった。
「痛ぅ…」
激痛のあまり、のたうちまわり仰向けに転がった。
(もしかしたら、ヒビくらいは入ったかもな)...
8月31日だというのに、駅はやけに混んでいた。
(あの時、こんなに混んでいたっけ?)
8年前を思い出そうとしたが、まったく思い出すことは出来なかった。
淡い光が構内を照らし、行き交う人を照らしている。
壁には、いくつもの広告が埋め込まれていて、その中から女優が微笑みかけていた。
(この女優...
受付には黒髪の女性の姿はなく、別の女性がいた。
栗色の短い髪、人当たりの良さそうな顔、一般的基準なら十分美人の範疇だ。
服装も振袖などではなくスーツを着ていた。
(これが普通だよな)
心の中でクスリと笑ってしまった。
「何かお困りですか?」
女性はにこやかに対応した。
「あの~00号室...
斎場に着くまでは、ひどいどしゃぶりだったが着いた途端太陽が顔を見せていた。
雪美の母親を見つけ、会釈をする。
傍に父親の姿はない。
きっと離婚したのだろう。
受付を済ますと黒いドレスの優に会えた。
いっぱしの美人になっていた。
「見違えたな」
「そう?」
立ったまま一言二言交わすと、...