明ける空のカンタータ
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/06/16 20:22:52
月は西へ傾き 蛍の火も消えゆけば
廃墟の教会はあわい霧につつまれる
くづれた壁のすきまを抜ける風は
だれもいない堂内に白くあふれるあんなに悲しく響いていた鐘の音も
いまは朝のひかりのなかに溶け去り
壊れた窓からはみづいろの空が
しづかに しづかにひろがってゆくああ 夜のあいだのすべてのかなしみは
小...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
月は西へ傾き 蛍の火も消えゆけば
廃墟の教会はあわい霧につつまれる
くづれた壁のすきまを抜ける風は
だれもいない堂内に白くあふれるあんなに悲しく響いていた鐘の音も
いまは朝のひかりのなかに溶け去り
壊れた窓からはみづいろの空が
しづかに しづかにひろがってゆくああ 夜のあいだのすべてのかなしみは
小...
窓の外には しずかな雨
昼下がりの 淡いひかりのなかで
庭のあじさいが そっと濡れている
青からむらさきへ うつろう色彩(いろ)それは だれかが置き忘れた
小さな日傘のようでもあり
記憶の底に 咲きそめた
遠い日の まぼろしのようでもあるひとりで聴く 雨の音は
どこか なつかしい歌のようで
わたしは...
雨は冷たい。
アスファルトが濡れるたび、過去の記憶がにじみ出る。トレンチコートのポケットに両手を突っ込み、
煙草の煙を天井に吹き付ける。窓を打つ雨音は、どこか古びたジャズのようだ。
退屈な街のノイズを、すべて洗い流してくれる。ウイスキーのロックグラスを傾けると、
氷がカランと、寂しげな音を立てた。静...
静まり返った部屋_
鳥籠のなかの小さな羽ばたき。
レコードの溝を滑る針が、
あの物憂げなオルガンの音を、ぽつり、ぽつりと落としてゆく。
中折れ帽の庇を引き下げれば、
世界はただ、冷たい青の一色に染まる。トレンチコートの襟に顔を埋め、
寂れた路地裏の、濡れた石畳を歩いてゆく。
消えかけたネオン、遠くで...
冷たい雨が窓を叩く、青い影だけが息づく部屋。
レコードの溝に針が落ち、あの懐かしいオルガンの旋律が滑り出す。
軽やかで、どこか胸を締めつける、哀愁を帯びたリフレイン。
それは、感情を削ぎ落として生きる俺の、たったひとつの逃げ場所だった。トレンチコートのポケットに両手を深くねじ込み、
煙草の煙の向こう...