■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(38)
- カテゴリ: その他
- 2010/06/05 11:21:17
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(3)
單に超人間的といふは尚ほ盡きず。『眞夏の夜の夢』『あらし』等が、全篇此の調子に滿てるはいふに及ばず、『ハムレット』の亡靈、『マクベス』の妖婆、皆超人間的若しくは傳奇的空想的風味を、彼れが作に注加する所以なり。而して此の如き風味は、溯つては之れを中...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(3)
單に超人間的といふは尚ほ盡きず。『眞夏の夜の夢』『あらし』等が、全篇此の調子に滿てるはいふに及ばず、『ハムレット』の亡靈、『マクベス』の妖婆、皆超人間的若しくは傳奇的空想的風味を、彼れが作に注加する所以なり。而して此の如き風味は、溯つては之れを中...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第八(2)
彼れが文藝上の地位は、一大驚嘆なり。凡そ古往今來彼れが如く時代を破り、彙類を破りしもの他にありや。當時歐洲が中世の長き眠りより醒めて、文藝復興の光りにより、ここに新鮮の天地を見たりし喜びは、おのづから映じて彼れが一代の作にあり。彼れの諸作を通じて...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第七(6) - 第八(1)
ラファエロの心は知るべからずといへども、事實の跡は、是れよりも更に/\深き意義を示すに似たり。彼れは、此の畫によりて實に神と人とを合一せんとしたり。而して是れが爲めには、舊來の信仰一邊なるものを損するの危險を恐れず、活きたる人間の...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第七(5)
畫家はすなはち易きに就いて眼を俯しにせしめ、感情を隱して其の光りを消し、以て僅かに其の神々しさを保たんとせるなり。一切の感情を活かして、直ちに神に合わせんとするは、積極たり。之れを消して神に合わせんとするは、消極たり。眼を伏せて感情の窓を閉づるも...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第七(4)
其の情は明かに説きがたきも、譬へば我が體漸く虚靈となつて、永久無限の邊に導かれ行くが如く、優しく、心細く、物哀れなる心地となるにあらずや。是れ凡て大なる宗教畫が有する一作用にして、畫家の宗教的感情が、おのづから光澤となつて、畫面に流れ出でたるなり...