セントルイス・ブルースの残響
- カテゴリ: 日記
- 2026/06/18 19:52:30
ドアのベルが、真鍮の乾いた悲鳴を上げた。
外は雨だ。それも、俺のシャツの襟まで冷たく湿らせる、最低の雨だ。
煙草の煙がバーボンの琥珀色の水面に溶け落ちる。ジュークボックスの針が落ち、くぐもったコルネットの音が空気を切り裂く。
セントルイスの夜だ。ミシシッピの風が、路地に迷い込んだ孤独な犬のように吠え...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
ドアのベルが、真鍮の乾いた悲鳴を上げた。
外は雨だ。それも、俺のシャツの襟まで冷たく湿らせる、最低の雨だ。
煙草の煙がバーボンの琥珀色の水面に溶け落ちる。ジュークボックスの針が落ち、くぐもったコルネットの音が空気を切り裂く。
セントルイスの夜だ。ミシシッピの風が、路地に迷い込んだ孤独な犬のように吠え...
ネオンの文字が、いくつか死んでいる。
「D I N E R」の文字だけが、潮風に震えながら赤い光を放っていた。
窓の外は、真っ暗な太平洋だ。
打ち寄せる波の音が、重低音のドラムのように足元を揺らしている。店内のジュークボックスから流れるのは、やはりジャック・ティーガーデンだ。
彼のトロンボーンは、ま...
アスファルトが昼の熱を吐き出している。
港の空気は重く、肌にねっとりと絡みついた。
開け放たれたバーの窓から、ビリー・ホリデイが流れてくる。
「肉体と魂」のブルース。
その歌声だけが、この乾いた熱帯夜のなかで冷たく澄んでいた。上着を脱ぎ、シャツの袖を乱暴にまくり上げる。
額を流れる汗は、涙の代わりに...
午前五時三十分。
闇に消え損ねた俺は、うらぶれた安ホテルの部屋にいた。
壁に掛かった錆びた十字架が、斜めに傾いている。
誰も救わなかった、誰も救えなかった、鈍い鉄の塊だ。鏡に向かい、冷たい水で顔を洗う。
だが、そこに映る俺の顔は、ひび割れて歪んでいた。
お前を突き放した瞬間に、俺の手で叩き割った割れ...
まぶしい初夏の ひかりが青空にみちるとき
小鳥のさえずりが 森の奥からきこえてくる
世界はこんなに たのしげに歌っているのに
わたしの心だけが 切ないなみだに暮れていますそよ風が やさしく草の葉をゆらしてゆき
きらめく木漏れ日が わたしの影を浮きぼりにする
いくら涙をふいても あとからあとからあふれ...