錆びたベンチが、冷えた鉄の匂いをさせていた。
蛍光灯は、神経質な瞬きを繰り返し
誰もいないホームを、青白く、不健康に照らしている。時刻表には、もうどこへも向かわない数字が並んでいる。
約束も、後悔も、定刻通りにここを通り過ぎていった。
残されたのは、自動販売機の唸る音と
足元を這うように流れる、湿っ...
錆びたベンチが、冷えた鉄の匂いをさせていた。
蛍光灯は、神経質な瞬きを繰り返し
誰もいないホームを、青白く、不健康に照らしている。時刻表には、もうどこへも向かわない数字が並んでいる。
約束も、後悔も、定刻通りにここを通り過ぎていった。
残されたのは、自動販売機の唸る音と
足元を這うように流れる、湿っ...
視界は すべてミルク色の闇に溶け
世界から 輪郭という輪郭が 剥がれ落ちていた
防波堤に腰を下ろせば 冷えた湿り気が
安物のコートを 容赦なく重くする。ボーッ、と。
目蓋の裏まで 震わせるような 低い霧笛。
それは どこかへ向かう船の合図か
それとも 帰る場所をなくした 男の独り言か。海は見えない。...
錆びたナイフが 月明かりを反射した。
俺は ソファに深く沈み込み
グラスの中で 氷がカチリと音を立てるのを 聞いていた。電話は鳴らない。
約束なんて言葉は 安いウィスキーよりも 早く蒸発した。テーブルの上には 灰皿と
奴が置いていった 鍵束。
街の騒音だけが 遠くで生きていた。信頼。
使い古された銃...
雨が 歩道を黒く叩いている。
街灯は 汚れきった水たまりに
安っぽいネオンを 放り投げていた。俺は 火のつかないライターを捨て
湿った煙草の 苦味を噛む。
誰かが 裏路地で 短い悲鳴をあげ
それもすぐに 車の騒音に 塗りつぶされた。正義なんて言葉は 辞書の中だけの話だ。
ここでは 冷えたコーヒーと ...
ああ 雨がふる 雨がふる
空のずうっと 高いとこから
汚れつちまつた ぼくの肩に
冷たい飛沫 がはねてゐるぎんいろの ひよつとしたら かなしみが
ぢりぢりと 胸を焼くのでせう
ぼくは がたがた ふるへながら
どこの誰とも 知らぬ 街をゆくゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
どつけん どつけん 荷馬車がゆ...