外はひどい土砂降りだ
天がこの街の罪を
洗い流そうと躍起になっているカウンターの隅
隣の男が酔いに任せて
「世界は変えられる」と宣(のたま)う
その声は 氷が溶ける音より軽い綺麗ごとってのは
ここじゃただの 質の悪いジョークだ
磨き上げられたバックバーの鏡に
映る自分を直視できない奴が
間に合わせに...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
外はひどい土砂降りだ
天がこの街の罪を
洗い流そうと躍起になっているカウンターの隅
隣の男が酔いに任せて
「世界は変えられる」と宣(のたま)う
その声は 氷が溶ける音より軽い綺麗ごとってのは
ここじゃただの 質の悪いジョークだ
磨き上げられたバックバーの鏡に
映る自分を直視できない奴が
間に合わせに...
正義なんて言葉は
安酒のチェイサーにもなりゃしない
飲み干せば喉を焼くのは
いつだって 剥き出しの現実だ「明日はきっと良くなる」
そんな台詞を吐く奴に限って
返り血の落とし方も知らない
綺麗な指先をしている愛だの 希望だの
磨きすぎた硝子細工は
この街の硬い石畳に落とせば
一瞬で ただの凶器に変わる...
午前二時、ブルーノートの盤が回る
針が拾うのは、都会の煤けた溜息だ
Cool Struttin'のジャケットのように
見知らぬ女のハイヒールが、アスファルトを冷たく叩くお前のピアノは、バーボンの味がする
最初は軽快なステップで誘い出し
気づけば、逃げ場のないブルースの闇に突き落とす
指先が鍵盤に触れ...
カウンターの隅、止まったままの時計。
マスターは何も聞かず
ひび割れたグラスに、毒のような琥珀を注ぐ。氷が溶けて、カランと鳴った。
それがこの街で、唯一信じられる音だ。
薄まった安酒が、荒れた喉を焼き
胃の底に眠る「後悔」を、静かに揺り起こす。「お代わりは?」
首を振って、最後の一口を飲み干した。
...
雨は、世界の汚れを洗うわけじゃない。
ただ、隠しておきたい傷跡を
生々しく、黒く、浮かび上がらせるだけだ。軒先から滴るしずくが
ブリキのゴミ箱を、執拗に叩いている。
誰かが書いたシナリオ通りに
空は、重たい鉛の蓋(ふた)を閉じた。火をつけた煙草が、湿気でうまく燃えない。
指先に残る微かな紫薬の匂いも...