■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫…(29)
- カテゴリ: その他
- 2010/08/09 00:18:25
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 六(3) - 七(1)
ホヰツスラーのシンフォニースもノクターンスも、皆それ/″\の風景といふ圖象だけは借りてゐる。少なくとも是れだけの圖象を借りなくては自然の秘密を暗示する力が足りない。問題は此の所に殘つてゐるのである。彼等が絶せんとする...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 六(3) - 七(1)
ホヰツスラーのシンフォニースもノクターンスも、皆それ/″\の風景といふ圖象だけは借りてゐる。少なくとも是れだけの圖象を借りなくては自然の秘密を暗示する力が足りない。問題は此の所に殘つてゐるのである。彼等が絶せんとする...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 六(2)
畢竟時勢が段々平民的になつて、大美術の複製がどし/\一般に行きわたつて、溢れて、遂に一部の趣味を疲勞させた。この疲勞の發現が彼等の藝術となつた。努力することを避け、考へることを避けて簡易に作をしやうとする。バーンジョーンスがホヰツスラーの藝術...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 六(1)
六
今一つ最後の例としてホヰツスラー乃至其の黨與に對する近時の代表的批難を擧げれば、それは即ち前掲クック氏の『藝術に於ける無政府主義』である。其の大意を摘むと、ホヰツスラーの反動的藝術(Reactionary art)はあら...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(6)
ラスキンは彼れを罵つて、繪具皿を公衆の面前に投げ出し、それを畫と呼ぶものだと言つた。負けてゐないホヰツスラーは之れを、名譽毀損として法廷に訴へ、勝訴となつて一ファーシクグ即ち一錢の損害賠償を受けると共に破産した。續いてラファーエル前派の勇將で...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(5)
ホヰツスラーの自然に之く立場と、併せて其の畫面の趣が此の文で窺はれる。彼れの風景畫は、夢のやうな夜の調子を現はすに最も妙を得て、全幅たゞ蒼や灰の一色の裡に、影のやうに黒い丘や建物の輪廓が浮ぶ、黄いろい燈火が三點五點、覺束ない脈搏のやうに調子を...