遠距離だったあの頃は、
「どこでもドア」が欲しかった。
あなたと別れた今は、
「タイムマシン」が欲しい。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
通り雨をしのいでた軒下は、
古い格子戸のあるお屋敷。
手入れの行き届いた花壇から家を覗くと、
玉砂利の敷かれた小さな庭園が見える。
空を見上げると、
もう少しで止みそうな雨。
石畳をはうように残り雨が流れて行く、
淡紅色の雲がたなびいてる。
足元は土の道、子供の頃を思い出した。
父の実家で地面に棒切...
幼い頃、叔母に連れられて行った病院見舞い。
退屈していた私は病院の中庭へ、
外はいきなりの雷雨であたりは真っ暗。
まるで、夜の嵐のようだった。
雷光と共に一瞬の停電、
すぐに復旧した時にその人は私の前に立っていた。
その人は頭から黒い合羽をかぶっていたけど、
ずぶ濡れだった。
帽子のひさしからも雨水...
ボールペンを探して何気に引き出しを開ける、
書類の下には古い封筒が顔を出した。
子供の頃に叔父からいただいた手紙である、
中にはたいしたことは書いてないのだけれど今だにとってある。
紅い封筒を手に取って中から出して見る、
十数年ぶりに目にした便箋は樺色だった。
紅いというのは子供の頃の印象で、
今あ...