悪友が、地元の湧水を持ってきてくれた。
飲んでみると、ほのかに甘いような・・そんな感じがした。
そういえば、父の田舎にもそんな場所があった。
羊歯類が妙に白い葉裏を音もなく翻して辺りは、シンとなる。
流水をたどると、瓢箪の形をした小さな池へ注いでいた。
くびれた処に、朱塗りの橋がかかっていた。
子供...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
悪友が、地元の湧水を持ってきてくれた。
飲んでみると、ほのかに甘いような・・そんな感じがした。
そういえば、父の田舎にもそんな場所があった。
羊歯類が妙に白い葉裏を音もなく翻して辺りは、シンとなる。
流水をたどると、瓢箪の形をした小さな池へ注いでいた。
くびれた処に、朱塗りの橋がかかっていた。
子供...
秋の夜空に爪のような月が出ている。
白い壁は黄色いスポットライトに照らされている、
緞帳は閉じたままだ。
こじんまりとした小劇場、
今宵の演目は何かとプログラムに目をやる。
中綴じの薄っぺらなプログラムを、
読むでもなくめくりながら開演時刻を待っ。
劇場の椅子に腰かけて幕の上がる前の、
快い緊張と腰...
雨も強くなった頃、彼はやってきた。
「いいものが手に入ってね」酒である。
こんな台風がきてる日なのに「だからだょ」、
仕事がそのせいで早く終わったらしいし、
「明日も休みなんだょ」私もだ。
「つまみはドーナツでいい」相変わらず変わった奴である。
食べ終わったドーナツの袋に何やら書いている、
「気にな...
折り重なった現実
くねくねまがった上り坂
斜めに見上げた曇り空
かすかに聞こえる優しい声
微笑みをかけてくれる優しいまなざし
いつでも暖かい優しい手
いつだって 一緒だょ