悪友たちと酒を飲むたびに、
幼いころの思い出話が必ずひとつは出る。
夏の夜祭でラムネを飲んだ話が出た。
チョット薄暗い昔風のショットバー、
カウンター席だけのこじんまりとしたお店。
色気はまったくない。
しかし、ここのマスターは知る人ぞ知る映画通なのだ。
そして何かにつけて、
「あ、そのシーン、〇〇...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
悪友たちと酒を飲むたびに、
幼いころの思い出話が必ずひとつは出る。
夏の夜祭でラムネを飲んだ話が出た。
チョット薄暗い昔風のショットバー、
カウンター席だけのこじんまりとしたお店。
色気はまったくない。
しかし、ここのマスターは知る人ぞ知る映画通なのだ。
そして何かにつけて、
「あ、そのシーン、〇〇...
映画を観ていると、
ふとした場面が奇妙に印象に残ることがある。
例えば「大人は判ってくれない」。
主人公の少年アントワーヌが学校をエスケープして、
友人の家に遊びに行く。
その友人ルネの部屋は柄と模様の大洪水で、
窓辺や寝台に使ってある布がサテンやタフタの美しい布地ばかりだった。
ジャガード織りは機...
ひどく冷静に、
のこりの作業をやり終えた。
ここから出ていく、
最後の作業。
終わったすべてが、
思い出の束が、
もう重みもなく、
床にかさなる。
椅子に座って、
靴ひもを堅く結ぶ。
ため息とともに、
立ち上がり、
ドアをひろくあける。
石を見ると思いだす、懐かしい場所がある。
蛋白石・オパールと読めばどんな石か察しがつくでしょう。
東京も広く、昔は田舎みたいな場所がいくらかありました。
凌霄花の咲く庭を持つ悪友の家はスカラ座通りにある、
街で由一ひとつだけあった映画館の名前がついていた。
スカラ座は通りのはずれにあり、
蛋白石の丸...
ワインについて語られる機会は多いが、
同列にワイングラスについて語られることは少ない。
実際に私の仲間などで飲む場合でも、
ほとんど気にして飲んでいる人は少ない。
ワイングラスの3ヵ条がある、
専用に作られたグラスを選ぶ。
形から味を逆算する楽しみを知る。
装飾品ではなく実用品と心得る。
注がれたワ...