蒸し暑さをさけようと、図書館へ出かけた。
窓をおおう緑が静かに揺れる。
あの子がいた頃、私もここへ週末ごとに通った。
あの子がいた机にさわる、
ひんやりとした感触。
潮騒のような昔、深緑の立方体。
そんな甘酸っぱい想いで。
私は今も迷いながら生きてます。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
蒸し暑さをさけようと、図書館へ出かけた。
窓をおおう緑が静かに揺れる。
あの子がいた頃、私もここへ週末ごとに通った。
あの子がいた机にさわる、
ひんやりとした感触。
潮騒のような昔、深緑の立方体。
そんな甘酸っぱい想いで。
私は今も迷いながら生きてます。
今確かに鳥の聲が聞こえた。
人気のない舗道を歩いている最中に、
私は不意に口を開き天を仰いだ。
空は澄明な碧ガラスのように見える、
どんよりとした雲が今にも泣きだしそう。
庭園の薔薇の上に水滴を落としてきた、
耳を澄まして今いちど鳥の聲をさがした。
暇って時々素晴らしいけど、
暇すぎるっていうのはよくないね。
暇だと余計な事を考えるし、
しなくてもいいことまでしちゃったりして。
忙しいこと忙しさ、
時たまそれに救われる。
何も考えずに没頭する、
集中力にすくわれる。
「ぶらぶらと歩いて木陰に腰を下ろすこともできない」
とマイケルジャクソンは言ってた。
私たちはにはそんな心配はない、
私たちは自由だから。
どこにでも歩いていって、
どこにでも座ろう。
思い出すことがある、
何かのはずみに、
立ち止まったり、
ふりむいたり。
流れる景色を見た時。
大好きな場所のこと、
懐かしい風のこと、
匂いのこと。
魚のようにキラめいて、
一瞬に消える。
今でさえ、
明日は思い出。
ゆらめいて消える、
淡い影。