まだ眠りについてる砂の稜線に、
なかば埋もれた石の露台が見えている。
白い日よけのはためく窓は、
鳥の巣のように並んでいる。
私は昼顔の蔓をたどって引き潮道をわたり、
対岸の海ホテルへ向かう。
汐騒のあいまに、
遠く硝子の皿に匙をおく音が聞こえた。
グラスの冷たい水は、
瞬く間に昼下がりの熱気を吸う...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
まだ眠りについてる砂の稜線に、
なかば埋もれた石の露台が見えている。
白い日よけのはためく窓は、
鳥の巣のように並んでいる。
私は昼顔の蔓をたどって引き潮道をわたり、
対岸の海ホテルへ向かう。
汐騒のあいまに、
遠く硝子の皿に匙をおく音が聞こえた。
グラスの冷たい水は、
瞬く間に昼下がりの熱気を吸う...
暑い午后、日ざしは真上からふりそそぐ。
アスファルトには陽炎がたちのぼり、白く乾いている。
冷蔵庫の飲料水が底をつき買い出しに、
外に出ると暑さで汗が流れだした。
私は部屋に戻り帽子に手をかけた、
それは父のお気に入りだった麦わら帽子。
当時としてはそんな帽子はいくらでも同じものがあったが、
父の帽...
わたしは、
この世のあらゆることは、
すべて「部分」というか・・・「かけら」なんだと思っています。
誰も本当の「全体」なんて知らないのでは・・・そう思うんです。
ああ・・・また・・・不思議ちゃんを語っちゃってます。
小さな音を聴こうとするとき、
人は誰もが少しだけ優しく謙虚な姿勢になるのではないでし...
日曜日に友人と、家でぼんやりとお茶を飲んでいたら。
どこか遠い所からピアノの音が聴こえてきたんです。
それはもうほとんど聴こえないと言った方がいいような、
小さな音でした。
たぶん誰かが何かピアノ曲を練習していたような、
短いフレーズを弾いては立ち止まる、
その繰り返しだったんです。
それが何だか、...
散っていく、雨のカケラが。
空から、無数の落下傘隊。
その中に、知っている顔。
人のことをこんなにも気にしたのは初めて、
貴方は何を考えているのかわからない。
自分のことをこんなふうに考えたのも初めてで、
どうしたらいいのかわからない。
思いは彷徨う落下傘、
いつかは下に着地する。
この人がちょっと...