吉平達の前に現れたのは、直刀を構え、ゆっくりと間合いをつめる、乗っ取られた晴明の骸。剣先が天に向いた時、突然異変が起こった。
晴明の周りの風景が陽炎のように揺らめきだし、青白い光が閃いたかと思うと、次第に光は強さを増して晴明の体全体を包み込んで、その動きを止め、ついに光に覆われてその姿が見...
自分の好きを表現し、具現化するところ
吉平達の前に現れたのは、直刀を構え、ゆっくりと間合いをつめる、乗っ取られた晴明の骸。剣先が天に向いた時、突然異変が起こった。
晴明の周りの風景が陽炎のように揺らめきだし、青白い光が閃いたかと思うと、次第に光は強さを増して晴明の体全体を包み込んで、その動きを止め、ついに光に覆われてその姿が見...
「奉親、すぐに上賀茂社に参って、賀茂在実神官を訪ねよ。
守道様が主水司(もいとりのつかさ)より許状を頂いて参った。
これを渡し、在実殿より氷を頂いて参れ。
帝直轄の氷室を実質管理しておられる方だからな。
狩衣での非礼を詫びて、失礼の無いように対応するのだぞ」
「同じ賀茂家の者から使者を出せ...
・陰陽寮
「では、わたしはこれで」
真白な浄衣を着た若い男が、安倍吉平に見送られて今まさに建物から出ようとしていた。
「おい、章親じゃないか。来ていたのか」
探索から戻ってきた時親が声を掛けながら入ってきた。
「今は円弼(えんや)を名乗っております」
「身内には、昔の名前で呼ばせろよ」...
・四条橋 鴨川沿い
薄青色に竜胆唐草紋様の狩衣を着て、烏帽子をはずして扇子をパタパタと扇ぐ青年がつぶやいた。
「暑いのに外廻りとはついて無いなあ」
「奉親、みっともない格好はやめろ。烏帽子を被って、服装を正せ。
往来だぞ。わきまえろ」
薄藤色に三十襷紋様の狩衣を着て、並び歩く青年が注...
前後しますが、ちょっと説明
賀茂光栄(九三九~一〇一五) 陰陽博士、主計頭、右京権大夫
従四位上 陰陽頭、賀茂保憲の息子。
賀茂守道(九六八~一〇三〇) 暦博士、主計頭 従四位上
安倍吉平(九五四~一〇二六) 陰陽博士、主計頭、陰陽助
従四位上 安倍晴明の長男。
吉平...