『精霊の世界、星の記憶』第12話「凍りゆく…」②
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/09/18 21:55:43
第二章 アプリコットの野
「凍りゆく花の野」②
星史の頭の中に、急にセフィロスの力のない声が小さく響いた。星史はその声を聞こうと、ローズ・フローラとつないでいない方の右手を額にあてた。「セイジ!!」とシルビアとローズ・フローラが同時に言った。「ぼくは、大丈夫。大丈夫だから、心配しないで。声が聞...
第二章 アプリコットの野
「凍りゆく花の野」②
星史の頭の中に、急にセフィロスの力のない声が小さく響いた。星史はその声を聞こうと、ローズ・フローラとつないでいない方の右手を額にあてた。「セイジ!!」とシルビアとローズ・フローラが同時に言った。「ぼくは、大丈夫。大丈夫だから、心配しないで。声が聞...
第二章 アプリコットの野
「凍りゆく花の野」①
微かに切れて傷ついた頬をなでながら、星史は辺りを見回した。強く冷たい風は、だんだんとアプリコットの野を凍りつかせていった。それは足元からの冷気で、だんだんと足元から精霊たちを凍らせていく。精霊たちは寒さに震えながら、顔をこわばらせていた。一緒に踊って...
第二章 アプリコットの野
「光と闇のワルツ」②
(星史はシルビア、ローズ・フローラ、花の精霊たちを見回しながら、大きく息を吸った。)
朝焼けと夕焼けは 光と闇の色 ささやかなこの時間 愛の色に染まるよ
いち にぃ さん にぃ にぃ さん おどるよ 光と闇のワルツ
ワン...
第二章 アプリコットの野
「光と闇のワルツ」①
花の精霊たちは、ローズ・フローラを囲んでいつのまにか輪になっていた。風に揺れるようなリズムで体を左右に動かし、和気あいあいととても仲が良さそうである。「マリ=ローズ・フローラ、一緒に歌いましょう」とある花の精霊が言った。「はい、ティア=アネモーネ」とロ...
シルビアは何となくセイジがお母さんの話になると表情がくもること、どこか遠い目になることがわかった。くもった表情を打ち消すように、「ぼくのお母さんは歌手なんだ。シャンソンという歌を歌ってる。日本の歌も歌うよ」と星史は明るく言った。「シャンソン? 知っているわよ! 心を歌っている歌よね。ちょっと派手な...