Be:19 touhu
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/04/05 17:42:05
始発の列車には他にも乗客が居たが、ここで降りたのは僕たちだけだった。
改札を抜けると、真正面の壁一面の窓から朝日が見えた。
「なんか、一晩で色々あったな」
「ありすぎたな」
ガントが答える。
「まだいじけてんの?」
少し僕から離れていた愛香を見る。
「…いじけてないもん」
ふ...
ASOBI足りない
始発の列車には他にも乗客が居たが、ここで降りたのは僕たちだけだった。
改札を抜けると、真正面の壁一面の窓から朝日が見えた。
「なんか、一晩で色々あったな」
「ありすぎたな」
ガントが答える。
「まだいじけてんの?」
少し僕から離れていた愛香を見る。
「…いじけてないもん」
ふ...
ガントの問いには、結局答えられなかった。無様にベンチに戻るとあれこれ考えた。
生きる意味とか、死ぬこととか。
もちろん答えは出ない。
ただ、気付いた。
今更すぎるが、皆いずれは死ぬんだ、ということと、
人を殺すための言い訳を僕らは探していたんだ、と。
そして、僕はやっぱり現実と向き合っていなかった...
自分勝手な感傷で愛香にハグをした僕を、愛香は静かに拒んで、手で押し返した。
彼女は寝ていなかったのだ。
その瞬間、僕はようやく冷静になった。そして、冷たい思考に触れた。
ガントは、僕は、愚かだったのかも知れない。
死んだ敵の分まで、なんて偽善に過ぎないんじゃないか。
そして、愛香は僕のせいで傷つい...
ガントによると、この期間中、参加者に対して鉄道路線が無償らしい。
キャッシュカードをそのまま改札に通せばいいとのこと。
しかし、今の時間帯、電車があるはずがない。
僕たちは待合室のベンチに座って始発が来るのを待っていた。
「ダメじゃん」
愛香が不機嫌そうに言った。
「怒るなって。あとちょっと待...
さすがにこんな時間だからか、敵に遭遇することはなかった。
ファミレスを見つけると僕たちはすぐに入った。
僕の横にはやっぱり愛香が座ってきた。そして、ガントは座っていても大きかった。
その大きさにはもはや、感動する要素すら見出せそうだ。
店員が来ると僕たちはそれぞれ注文した。
思いだして言う。...
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