Nicotto Town


ごま塩ニシン


夜霧の巷(22)

 上林が三人と飲み会をして1週間後、事態は思わぬ方向に動いたのであった。上林がキッチンで焼き飯を食べていると外出から戻った木崎龍平が声をかけてきた。「よかった。相談したいことがあるんだ。」「何が。例の手帳のことか。何度も言っただろう。酔っぱらって、俺が、なにか了解したようなことを言ったかもしれないが...

>> 続きを読む


夜霧の巷(21)

 もはや、新垣内のペースになってきた。教養の乏しい上林良平には荷が重過ぎた。ただ、拾ったものだから、暗号で書かれたメモに執着はないが、人間の心理として内容を知りたいという欲求もあり、もし、このメモから持ち主が判明すれば、20万円を添えて返却したいという反省もあった。この時点で手提げバックが湾内に浮か...

>> 続きを読む


夜霧の巷(20)

 新垣内は木崎龍平にスポーツ新聞を借りてくるようにと指示した。この二人は呑み仲間なのだろう。趣味は競輪、ボートなどの賭け事のようでもある。木崎はフロントへ行って、スポーツ紙を持って席に戻った。
「どんな記事でもいいのですが、プロ野球の解説記事で試してみましょうか。適当に文字を囲むのです。」
 こう言...

>> 続きを読む


夜霧の巷(19)

 次の瞬間、木崎の表情が一変した。
「どうしても、解明したいというのであれば、漢籍に造詣の深い先生を知っているから、なんだったら、頼んでやってもいいよ。うちの親父がやっている開珍堂に出入りしている人だから、信頼のおける先生だ。ただね、ロハということにはいかないからな。君の方で予算があるかどうかだよ。...

>> 続きを読む


夜霧の巷(18)

 上林は、ふと浮かんだ閃きに突き動かされて、階下のリビングへ降りて行った。無職のフリーター木崎龍平がいた。木崎の家は骨董品を扱う古道具商で、屋号は開珍堂といった。明治時代から続いていると木崎は誇らしげに言っていたが、真偽は定かではない。ただ、古い書画を扱うのであれば、中国の古い書物なんかを読み解く知...

>> 続きを読む





月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.