おれは必死で流されないように巨木にしがみつきながら、下へ降りてゆく。
巨木の葉はどんどんちぎれて飛んでいき、あっという間に流されて、みるみるうちに無くなっていく。
ようやく熊の巣穴までたどり着き、おれは穴ぐらの中に入った。
穴ぐらの中は不思議に静まっていて、穏やかだった。
穴ぐらから外を見ると、海流...
おれはよく浜辺や森の中、あるいは道端などで、落ちてるものを拾う。例えば、どんぐり、ボタン、貝殻、石、ちびた鉛筆、鳥の羽根、何かの部品、錆びた釘、などなど、ちょっと自分のセンサーに引っかかるものなら何でも。そして、それをコレクトして、部屋の棚の中にしまってある。
そんなふうに集まった自分の棚の中にある記憶や思い出、もしくは、新しい体験や、これからしたいことなんかをみなさんにシェアするブログです。
おれは必死で流されないように巨木にしがみつきながら、下へ降りてゆく。
巨木の葉はどんどんちぎれて飛んでいき、あっという間に流されて、みるみるうちに無くなっていく。
ようやく熊の巣穴までたどり着き、おれは穴ぐらの中に入った。
穴ぐらの中は不思議に静まっていて、穏やかだった。
穴ぐらから外を見ると、海流...
涙の海はもう巨木を飲み込んでしまっていた。
海には無数のクラゲたちが泳いでいた。
白く透き通る小さくて触手の長いクラゲで、遠くに竜宮の使いも一匹泳いでいる。
この涙の海は、おれの中で何かが爆ぜた結果なのだ。と思った。
思いついて、おれは海の中で巨木を登ってみることにした。
しばらく登っていたけど...
1週間も過ぎる頃には熊の巣穴まで登るのも慣れてきて、どこに足を運べば楽に登れるかわかってきた。
巣穴から見る景色はあまり変わりばえせず、いつもと同じだった。
だけど、おれはさほど飽きもせず、巣穴の淵に座って過ごすことにも慣れてきた。
2週間が経つ頃には、もう巣穴までスイスイ登れるようになっていた。...
おれは卵雑炊を一口食べると、程よい出汁の香りが効いた熱くてとろりとした味で、体が一気に温まっていくのがわかった。
カブの炊いたものも、豆腐も、衰弱したおれの体に染み入る滋味があった。
ベルナルドの優しさそのもののような料理だ。
気づくと、おれは涙を流していた。
なぜだかわからない。
だけど、とにか...
しばらくそのまま休んで、呼吸が落ち着くまでだいぶん時間がかかった。
ようやく落ち着いてから、おれは額の汗をぬぐって、足のマッサージをしながら、穴の中を見渡した。
必死すぎて、何も気にしていなかったけど、もし、まだこの穴の中に別の熊がいたらどうしようと一瞬思ったけど、何もいなかった。
穴の中は思ったよ...