仮想劇場『親愛なるハニービーンズ』
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/08/21 00:17:24
長い長い雨が止んで僕の町にも晴れ間が見えた。 濡れたシャツを窓辺に干しながら遠い空をじっと眺め、考えることは大切な貴女の事。
笑うことは考えるよりもずっと簡単。切なさに身を任せることもやはり簡単。 自分らしく素直に生きることに比べれば存外に簡単だ。
今夜も冷えた体をバスタブに沈めながら思う...
長い長い雨が止んで僕の町にも晴れ間が見えた。 濡れたシャツを窓辺に干しながら遠い空をじっと眺め、考えることは大切な貴女の事。
笑うことは考えるよりもずっと簡単。切なさに身を任せることもやはり簡単。 自分らしく素直に生きることに比べれば存外に簡単だ。
今夜も冷えた体をバスタブに沈めながら思う...
通りを歩いてて突然にだよ? バチバチっと目があって電気が奔ってさ(お、僕この人とは分かち合えそう)なんて直感があってお友達になるって話 無いとは言わないけど、まぁまず無いでしょ あったとしてもそれはもう恋と同義だよ? ぐちょぐちょでずるずるの目も当てられない出逢いだよ
とかなんとかいうやりとり...
山間の景色に分厚く積もる灰雲を睨み、恨めしそうな唇でガムを噛んだ。 そして心の中の嘘を剥いでくるみ、味のしなくなったガムと共に吐き出した。
梅雨の空に掛けられたフィルターの中に小さな光の点を見つける。 それがキミであることを僕は知っている。 往々にして現実は僕たちをすれ違いにしたがるが、それで...
相も変わらず似たような日々をローテーションしている。 朝はバス停で今日の瞬きの場所を知り、 誰と話すでもなく教会前の椅子に一人腰掛け、 流れる会話に疲れたら教会のベンチで独り事を呟いている。
そこで物思いにふけるでもなく日常に集中するでもなく。 実生活の隙間を埋めているような感覚。 そして町の...
楽しかったことや嬉しかったこと 優しい気持ち 手のひらの残り香に託した 祈りという名の慕情
今はまだ苦しくとも 報われるまでの長い道のりだと思えば たとえば小さな灯が揺れて 今にも消えてしまいそうな そんな灯だったとしても
貴女が生きていてくれる この感覚の先に希望はあると信じているから
...