春谷探偵物語 第1巻「序章~始まりは殺人~」7
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/09/02 23:41:48
「ただいま帰りま・・・・・。」
「バカモン!今まで、何処をほっつき歩いとったんだ!」
谷本が事務所のドアを開けた瞬間に老人は怒鳴り声をあげた。
「スイマセン先生! 警部と会っていたものですから・・・・。」
「そんなもん、言い訳にならんわい!」
ここは四条河原町にある古ビルの三階。裏通り...
気が向いたときに、気まぐれで書いております。
が、不定期なのであしからず・・・。
「ただいま帰りま・・・・・。」
「バカモン!今まで、何処をほっつき歩いとったんだ!」
谷本が事務所のドアを開けた瞬間に老人は怒鳴り声をあげた。
「スイマセン先生! 警部と会っていたものですから・・・・。」
「そんなもん、言い訳にならんわい!」
ここは四条河原町にある古ビルの三階。裏通り...
同日、16時過ぎ。
高知とはうって変わって、京都市にある府警捜査一課の一室ではバタバタと人が飛び交っていた。三時間程前、南区にある東寺で死体が発見されたのだ。
「警部、仏さんの身元が判明したそうです。山岡 総一郎、東京、新宿で宝石店を経営しているとのことです。」
先程まで電話をしていた刑事が男...
「いらっしゃいませ。 あっ、小田さん。お久しぶりです。」
すっかり顔なじみになった店員が声を掛けてくれた。
「また、お世話になります。そうそう、今日は連れがいるんだ。」
「こんにちわ。」
太田は軽く礼をした。
「へぇー、もてないお前が女を連れてくるなんて珍しいよな。」
と言って厨房から...
太陽はもう西に傾き掛けている。綺麗な夕焼けだ。小田はラッシュの始まった高知市街を抜け、五大山展望台に到着した。
「ええっと、このレストラン前だな。待ち合わせ場所は。」
夕方とはいえ、まだ明るい18時前と言う時間だが、レストランは若いカップルで込み合ってきている。坂出で出会った時は赤い帽子が印象...
8時56分、L特急しまんと3号は坂出を定刻通りに発車した。小田はその列車の自由席に腰を降ろし、イスをリクライニングさせて考えていた。
{あの女性は一体、何者なんだろう? ひょっとして、本当にダイビングのインストラクターをやっているのだろうか? 刑事が嫌いと言っていたが、過去に何かあったのだろうか...