『Not guilty but…』(1)
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/11/03 04:26:52
『Not guilty but not innocent』
目が覚めたら隣に知らない異性がいた、というのは、フィクションではよくある始まりだ。
だが、それが事切れてだいぶ経っている死体、というのは……これもありがちかもしれない。ミステリだったら。
こういう場合、人...
ぶろぐ、の、ようなもの。
『Not guilty but not innocent』
目が覚めたら隣に知らない異性がいた、というのは、フィクションではよくある始まりだ。
だが、それが事切れてだいぶ経っている死体、というのは……これもありがちかもしれない。ミステリだったら。
こういう場合、人...
真っ暗な虚空を切り裂いて、コンテナが空を渡ってゆく。
輝くか細い糸に導かれて。
軌道上にあるスペース・ポートは人と貨物とが行き交うにぎやかな場所だった。
かつては。 エネルギー資源の底が見え始め、たかが荷物の積み下ろしに、貴重なエネルギーを費やすのはもったいない事、とされるようになって、ポー...
【四阿】
南天の空に浮かんだ満月が、庭園に光を降り注いでいる。
四阿の屋根から斜めに伸びる影が、その下で睦みあうひと組の男女を隠している。
甘い言葉も、楽しげな囁きもなく、ただひたすら、互いを貪るように、口づけと抱擁を交わし合っている。
やがて、男が女の服を緩めようとした。すると、女の手が...
【手紙】
届けられた郵便物に、淡いピンク色の封筒が混じっているのに気付いた。
表書きの筆跡は、女性のものと思われる、細い流麗な書体。ご丁寧に花の香りまで染み込ませてある。
裏返して差し出し人の名を見るが、表書きと同じ筆跡で知らない女の名前が書いてある。古風な赤い封蝋には、薔薇を象った紋章が捺...
桜の下には死体が埋まっているそうですね。
では、薔薇の下には、何が埋まっているのでしょうか――
【林檎園の少年】
真新しく、土を掘り返した跡があった。
周囲を均す、という偽装工作さえしていないのは、子どもの仕業、と思われた。
庭師がひとつ溜め息をついてそこを掘り返すと、案の定、そこからはソ...