金狼の重圧 『エデン編』…7
- カテゴリ: 自作小説
- 2013/06/30 11:43:07
メトロポリス郊外、13:03…
その派出所からはメトロポリスとオアシスシティの県境がすぐそこだ。数百メートル先には『ようこそオアシスシティへ』という看板がでかでかと見える。
ユウジはその看板を見ながらウルフに近づいていることを信じていた。
派出所の駐車スペースにEMを停止し、...
もう一度…
メトロポリス郊外、13:03…
その派出所からはメトロポリスとオアシスシティの県境がすぐそこだ。数百メートル先には『ようこそオアシスシティへ』という看板がでかでかと見える。
ユウジはその看板を見ながらウルフに近づいていることを信じていた。
派出所の駐車スペースにEMを停止し、...
オアシスシティ、第7高速道路…夕暮れ時…
金色のEMが静かに速度を上げていた。
このオアシスシティは都会の幻想からかけ離れており、地方議会では自然を大切にする政策を推し進めている。メトロポリスのような高層ビルが立ち並ぶコンクリートジャングルではない。
高速道路の配...
「また、これに乗る日が来るとは…」
自宅の駐車場の隅にシートをかけて埃をかぶっていたEM。ユウジは懐かしむように少しだけ積った埃を払った。
久しぶりにEMの充電器を取り出し、ジャックに差し込む。生気を取り戻すが如く、古く灰色に見えたEMが色味を帯びてくるように感じる。
「バッテ...
ケンは金色のEMがウルフだと言う事が分かり満足したのか、それとも髪を切り終えた事に満足したのか、支払いへと向かう。
支払いを終え、美容室を出る。ユウジも見送りのために一緒に外へ出た。
ケンは最後に諭すように優しい声を絞り出す。
「ユウジ…今回の事はあくまでも偶然だ。俺は別にウ...
ユウジは右手に持っていたドライヤーが何か重い鉄アレイのように感じていた。
ケンの髪を乾かすのを止め、どこか宙を見つめている。隣で違うお客を相手していた同僚の女性美容師が見かねて声をかけた。
「ユウジくん、どうしたの?」
その声でユウジは我に返った。
「…いえ、なんでもありませ...